最新記事

エネルギー

イギリスの家庭用電気・ガス料金、10月に80%引き上げ 標準世帯で年間57万円に

2022年8月29日(月)10時03分
ガスレンジとケトル

英ガス電力市場監督局(Ofgem)は26日、家庭用エネルギー料金が10月から80%引き上げられ、平均で年額3549ポンド(4188ドル)になると表明した。2012年11月、イングランド北部で撮影(2022年 ロイター/Nigel Roddis)

英ガス電力市場監督局(Ofgem)は26日、家庭の電気・ガス料金が10月から80%引き上げられ、標準世帯で年額3549ポンド(573,518円)になると表明した。

Ofgemのジョナサン・ブレアリー最高経営責任者(CEO)は全国の世帯に「多大な影響を及ぼす」とし、この「危機」に政府の「早急かつ断固たる」対応が必要だと指摘。また、ロシアからの供給減で欧州のガス価格が記録的な急騰を演じる中、来年1月にも料金がさらに引き上げられる可能性が高いとの見通しを示した。

退任まで2週間を切ったジョンソン首相は自身の後任が来月、脆弱な世帯を対象に追加支援策を発表する見通しだと述べた。

エネルギー価格の上昇圧力は欧州全体で高まっているが、ガス依存度が高い英国では、とりわけ驚異的なペースで電気・ガス料金が値上がりしている。

標準世帯の電気・ガス料金は昨年、年額1277ポンドだったが、今年3549ポンドになる見通しとなり、英調査会社コーンウォール・インサイツは2023年第2・四半期に6616ポンドのピークに達すると予想。各世帯は来年、毎月約500ポンドを支払う可能性があるとしており、多くの人にとって家賃や住宅ローンを上回る額になる。

エネルギー価格の高騰により英国のインフレ率は40年ぶりの高水準に達し、イングランド銀行(中央銀行)は長期のリセッション(景気後退)について警告している。しかし、ジョンソン首相の後任を決める与党保守党の党首選が行われる中で対応が先送りされている。

Ofgemは電気・ガス供給事業者が不当に利益を得るのを防ぐため、四半期ごとに2400万世帯を対象とする電気・ガス販売価格の上限(プライス・キャップ)を見直しているが、現在はこの上限が最低料金となっている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人

ワールド

プーチン氏、対ウクライナ姿勢変えず 米制裁期限近づ

ワールド

トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命令 メ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    ニューヨークで「レジオネラ症」の感染が拡大...症状…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中