最新記事

せどりビジネス

シャネルと韓国の転売ヤーが熾烈な攻防 長引くコロナ禍で衝動買い高まる

2022年3月22日(火)17時12分

シャネル・コリアによると、同社は今月、幾つかのハンドバッグ、アクセサリー、季節物の衣料の販売価格をアジアと欧州で引き上げ、韓国でも5%値上がりした。韓国ではここ9カ月間で5回目の値上げだ。

転売目的の大量購入を監視しているシャネルは、「行列管理制度」も採用した。客は到着の順番と来店目的を告げると、入店可能時間がテキストメッセージで送信されてくる。

こうした騒ぎに批判的な声も聞かれる。仁荷大学のリー・ユン・ヒー教授は「消費者は自発的にシャネルの無料広告を流している。(店舗の)外に並んで一夜を明かし、オープンランをしてその体験をソーシャルメディアで発信しているからだ。これら全ての現象は、シャネルがより若い客を引きつけ、大金を使わせる手助けをしていると思う」と指摘した。

もうかる転売

もちろん、行列や順番待ちリストの長さに嫌気が差した消費者もいる。

ソウルに住む30代のある女性は「ずっと前にもうシャネルの商品を買うのをやめてしまった。300人前後の順番待ちが普通で、自分が入店できる頃にはもう商品は残っていない。それで本当に買う気がなくなり、こんな常軌を逸した騒ぎの中には居たくもない」と話した。

そんなことであきらめないのは転売業者だ。複数の業者はロイターに、日給最大125ドルを払い、行列に並んだり、代わりに買い物をする人を雇っていると明かした。

30代のある業者は、転売で20%を超える利益を通常得ており、在庫が少なければもっと割が良くなると語った。

この業者は最近、シャネルの「フラップカードホルダー」を中古品取引サイトに出品し、小売価格より40%高い100万ウォン弱を提示したところ、わずか5分で売れたと説明した。

(Heekyong Yang記者、Silvia Aloisi記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・『イカゲーム』の悪夢が世界をここまで虜にする理由
・地面に信号! 斜め上を行く韓国の「スマホゾンビ」対策が話題に
・韓国、保守に政権交代なら核兵器を配備する方針...米国は「関心なし」と専門家


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止 働き手不

ワールド

米連邦最高裁、中立でないとの回答58%=ロイター/

ワールド

イスラエル・イラン攻撃応酬で原油高騰、身構える投資

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中