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日本や韓国の経済「減速」の原因は、企業のアメリカ的「短期主義」にあり

SQUID GAME ECONOMIES

2022年1月5日(水)12時16分
グン・リー(ソウル大学特別名誉教授〔経済学〕)

東アジアの資本主義には、今や再調整が不可欠だ。この点で参考になるのは欧州だろう。短期主義の悪影響を阻止するため、EUは複数の改革を実行しており、議決権や配当金で長期保有株主を優遇する制度の導入などが進んでいる。

アメリカでも、創業者の株式に特別な議決権を付与する「デュアルクラス」構造が新規上場企業に認められている。おかげで、多くのテクノロジー企業は長期的視点を持ち、革新的な新規プロジェクトを積極的に追求することができる。

東アジア諸国は新型コロナ危機を、経済金融化に歯止めをかけ、製造業を回復させて経済を再建するチャンスと捉えるべきだ。かつての高成長や、より大きな公平性のカギは、強い製造業にあった。

ただし、過去に戻るだけではいけない。シェアホルダー(株主)資本主義と、全ての利害関係者を考慮するステークホルダー資本主義の要素を併せ持つ「ハイブリッド型」を採用するべきだ。正しい行動を取れば、東アジアの経済的未来は『イカゲーム』より明るいものになるだろう。

©Project Syndicate

KEUN LEE
韓国・大統領国家経済諮問委員会副会長。ソウル大学特別名誉教授(経済学)。国連開発政策委員会メンバーやソウル大学国際大学院教授などを経て現職。

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