最新記事

中国経済

中国、金融規制強化で土地需要失速 入札激減で地方財政がひっ迫

2021年10月11日(月)11時59分

ロイターの調べによると、北部の天津は61区画のうち、売却されたのが40区画。遼寧省の省都、瀋陽は46区画中19件だった。

ムーディーズは今年の土地売却額の伸びが1けた台の前半にとどまり、来年はマイナスに転じると予想している。昨年は16%増だった。

ムーディーズによると、土地売却の状況がさらに悪化すれば、負債額が大きい天津や遼寧省などは、債務返済に窮しかねないという。

国有企業の支援

土地入札は民間不動産開発業者が参加を見送っているため、国有企業の独壇場となっている。ただ、地方政府の収入減を食い止めるのに十分かどうかは不透明だ。

6─10月期の入札のこれまでの結果を見ると、国有企業の落札額が民間の3倍に膨らんでいる。応札の総額を見ると、9月30日時点で2772億元と、3─6月期から45%減少した。

南西部の大都市、成都では、国営の中国鉄建(CRCC)が15区画に応札し、42億8000万元(6億6200万ドル)という巨額の頭金を支払った。

ロイターの分析によると、対照的に花様年控股集団や華夏幸福基業といった民間不動産開発業者は、今年の土地購入額が前年を下回るか、全く取得していない。中国恒大は地元の開発業者を通じて、6月に1区画を購入しただけだ。

ANZのベッツィー氏によると、長期的にみると地方政府は、不動産市況変動の影響を埋め合わせるため、不動産税など他の財源を模索する可能性がある。

中国はこの10年間、不動産税の全国的な導入を検討してきたが、地方政府を含め、不動産の価格急落や市況悪化を懸念する関係者の抵抗に直面してきた。

ベッツィー氏は「試験的に始め、状況に応じて規則を手直しすることができる」と話した。

(Ryan Woo記者、Liangping Gao記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ重症患者41人を医療避難、WHO事務局長が各国

ビジネス

ノルウェー政府系ファンド、投資先企業に温室効果ガス

ビジネス

午前の日経平均は続落、ハイテク株安重し 下値では押

ワールド

韓国中銀、予想通り政策金利据え置き 利下げスタンス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 6
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中