最新記事

ビットコイン

ビットコインはコロナを経て、インフレヘッジ資産として劇的に成長した

2021年7月14日(水)20時24分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

インフレ連動債

米国10年物インフレ連動債(TIPS)などインフレ連動債は、インフレと連動する形で価値が上昇する債券です。利率は固定されたままですが、消費者物価指数(CPI)に連動して元本部分(額面)が調整される仕組みになっています。

TIPSは、満期で少なくとも元本は受け取れることからしばしば「リスクのない」投資とみられます。予期せぬ高いインフレが発生した時、米国の債券より高いパフォーマンスを出す傾向にあります。

例えば、2008年の金融危機後にインフレ率が上がった時、iシェアーズTIPS ETFは、2012年末までに33%のプラスを記録しました。

ビットコイン

ビットコインは、プログラミングのコードによって金と同じ性質を持つように設計されており、しばしば「デジタルゴールド」と呼ばれます。ビットコインは、金と同じように、希少性が高く、供給量を意図的に増やすことが不可能で、耐久性があり、分割可能です。中央銀行の金融政策がもたらす不確実性に振り回される心配がない資産と考えられます。

ビットコイン創設者のサトシ・ナカモトは、創設時にビットコインの供給スケジュールを固定しました。このスケジュールを変更するためには、中央の管理者による独断ではなく、コミュニティーによる投票が必要になります。

こうしたビットコインの「インフレヘッジ」の特性に目をつけた「スマートマネー」は年々増加しています。

例えば、伝説のマクロ投資家と言われるポール・チューダー・ジョーンズ氏やナスダック上場マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー氏、テスラのイーロン・マスク氏などは、ビットコインのインフレ耐性に注目してファンドや会社全体の保有資産としてビットコインを持つことを決定しました。

新型コロナ発生以前、ビットコインはインフレ資産としては未熟とみられていました。しかし、上記のようなスマートマネーの流入に加えて、新型コロナ後の価格高騰から評価を上げています。近い将来、インフレヘッジ目的の資産としての地位を確立するかもしれません。

[筆者]
千野剛司
クラーケン・ジャパン(Kraken Japan)- 代表 慶應義塾大学卒業後、2006年東京証券取引所に入社。2008年の金融危機以降、債務不履行管理プロセスの改良プロジェクトに参画し、日本取引所グループの清算決済分野の経営企画を担当。2016年よりPwC JapanのCEO Officeにて、リーダーシップチームの戦略的な議論をサポート。2018年に暗号資産取引所「Kraken」を運営するPayward, Inc.(米国)に入社。2020年3月より現職。オックスフォード大学経営学修士(MBA)修了。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

戦争で世界経済に非対称ショック、物価上昇と成長減速

ワールド

レバノン南部で国連要員3人死亡、インドネシア国籍 

ワールド

米、イランとの協議順調 紛争費用負担でアラブ諸国に

ワールド

米陸軍精鋭部隊、数千人規模が中東展開開始 イラン作
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 5
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中