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ビットコインで「資産を守れる」は本当? インフレの「経済論戦」から考える

2021年7月14日(水)18時11分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

ハイパーインフレは、一般的に景気後退時に中央銀行がマネー供給量を急激に増やすことがきっかけで発生します。ハイパーインフレによる悪影響は、以下のように様々です。

●他の国の通貨に対して自国通貨の価値が急減し、購買力が急低下する。
●さらなる価格高騰を恐れて消費者がモノを備蓄し始め、品不足を引き起こす。
●消費者が預金を引き出し、また、銀行への預金を控えることによって、銀行の融資活動が制限される。
●生産と消費の減少によって税収が減り、政府の債務は増加、社会福祉サービスが減少する。

ベネズエラ、ハンガリーやジンバブエは、ハイパーインフレーションに苦しんだ国として有名です。

とりわけハンガリーは戦後最悪のインフレに悩まされました。1946年当時、一日のインフレ率が200%超も上昇。14.8時間ごとにモノ・サービスの価格が倍になっていきました。ハンガリー政府は、数時間単位で通貨の価値が変わるので税の徴収を全て停止したほどです。

労働者の実質賃金は80%減少し、多くの国民が貧困層に落ちたと言われています。さらに、ハイパーインフレによって債務の価値が無くなり多くの債権者が消えました。

【記事後半】ビットコインはコロナを経て、インフレヘッジ資産として劇的に成長した

[筆者]
千野剛司
クラーケン・ジャパン(Kraken Japan)- 代表 慶應義塾大学卒業後、2006年東京証券取引所に入社。2008年の金融危機以降、債務不履行管理プロセスの改良プロジェクトに参画し、日本取引所グループの清算決済分野の経営企画を担当。2016年よりPwC JapanのCEO Officeにて、リーダーシップチームの戦略的な議論をサポート。2018年に暗号資産取引所「Kraken」を運営するPayward, Inc.(米国)に入社。2020年3月より現職。オックスフォード大学経営学修士(MBA)修了。

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