最新記事
国債

コロナ対策で財政ひっ迫する各国が資金獲得競争 100年債や環境債など工夫こらす

2020年7月11日(土)13時11分
ロイター

永久不滅ポイントならぬ永久債も

オーストリアが先月発行した20億ユーロの100年債の応募倍率は9倍を超えた。2017年に売り出された初の100年債を買った投資家は元手の2倍の資金を得るとみられるのだから、今回人気が沸騰したのも驚くに当たらない。

相対的に利回りが高い超長期債は、世界中で12兆ドルを超える債券の利回りがマイナスに沈んでいる中では、年金基金や保険会社にとって魅力がある。

一方発行する政府も低い借り入れコストを長く固定できるメリットがある。オーストリアの100年債の表面利率は0.85%。カメス・キャピタルは、100年債の発行が「ポストコロナ」時代にはありふれた光景になる可能性があるとみている。

100年債の次には、満期がなく金利だけを払い続ける永久債が普及するのだろうか。著名投資家のジョージ・ソロス氏は、欧州連合(EU)こそがそれを検討すべきで、表面利率0.5%の永久債を発行すれば数兆ユーロ単位の調達が可能だと主張する。

イールドカーブの「隙間」を利用しようとしているのは米国で、1986年5月以降で初めて20年債を発行した。

時代に即した起債

環境重視の風潮を巧みに利用した政府の起債も成功を収めている。オランダが6月23日に発行した14億2000万ユーロのグリーンボンドは、わずか4分間で完売した。

同国財務省高官は「われわれが多額の資金調達を必要とする現在の状況は残念だが、各国政府にとってテーマがある債券、つまりグリーンボンドに着目する機会になっている」と述べた。

フランスもちょうど、グリーンボンドで150億ユーロを買い入れると表明したところだ。ドイツは9月に初のグリーンボンドを銀行のシンジケート団方式で発行する予定だ。ドイツが入札方式の代わりにシンジケート団方式を5年ぶりに採用したのは、より多くの投資家を対象にするとともに、大規模発行を迅速に消化できるようにする狙いだ。

アバディーン・スタンダード・インベストメンツのファンドマネジャー、ロス・ハチソン氏は、シンジケート団の方が今後国債発行手続きで恒常的になるだろうと予想している。

(Dhara Ranasinghe記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナ新規感染は昨日を上回り243人 2日連続200人台は初の事態
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・「カザフスタンで新型コロナより深刻な肺炎が流行」と中国大使館が警告 カザフ当局は「フェイクニュース」と否定
・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.


20200714issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月14日号(7月7日発売)は「香港の挽歌」特集。もう誰も共産党を止められないのか――。国家安全法制で香港は終わり? 中国の次の狙いと民主化を待つ運命は。PLUS 民主化デモ、ある過激派の告白。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エネ市場の緊張が金融安定に及ぼす影響を懸念=イタリ

ワールド

ゴールドマンとシティ、パリの従業員を在宅勤務 爆破

ワールド

英企業、エネ価格急騰で値上げ加速へ 雇用削減見込む

ビジネス

テスラの中国製EV販売、2四半期連続増 3月単月も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 3
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トラン…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中