最新記事

貿易

中国、米・カナダ・ブラジルの輸入大豆に新型コロナ安全証明を要求

2020年6月24日(水)11時49分

米国・ブラジル・カナダの当局筋は23日、中国が輸入大豆について、新型コロナウイルスに汚染されていないとする安全性証明書を求めていることを明らかにした。写真はブラジルで2018年2月撮影(2020年 ロイター/Ueslei Marcelino)

米国・ブラジル・カナダの当局筋は23日、中国が輸入大豆について、新型コロナウイルスに汚染されていないとする安全性証明書を求めていることを明らかにした。

新型コロナウイルスが食品を通じて伝染するとの証拠はない。

穀物輸出業者2社はロイターに対し、社として中国の要請に応じるかはまだ決まっていないとし、国の農業当局または業界として統一した対応を望むと述べた。

米・ブラジル・カナダの農務省からのコメントは得られていない。

食肉や青果の輸出業者は先週、中国の海関総署が中国向けの輸出について安全性証明書への署名を求めたことを明らかにした。

中国の大豆輸出業関係者によると、安全性証明の要請は中国政府からではなく、地方自治体の通関当局からだという。

カナダの大豆業関係者によると、カナダ政府は中国の要請について、民間の事柄であり、証明書の提出について関与しないとの立場を取っている。

アイオワ州立大学の穀物品質の専門家、Charles Hurburgh氏は、大豆そのものよりも、荷下ろしに従事する港湾労働者の方が感染リスクの元凶になり得ると指摘する。大豆の海上輸送には3週間以上かかり、ウイルスが宿主なしで生存できる期間より長いためという。

また中には、中国がこの問題を、米との第1段階通商合意で約束した米産農産品の輸入拡大に対する障壁として利用しているのではないかとの疑念を呈する向きもある。

中国は世界最大の大豆輸入国で、2019/20年度の輸入量は9400万トンとなる見込み。主要調達先はブラジルと米国となっている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・スウェーデンが「集団免疫戦略」を後悔? 感染率、死亡率で世界最悪レベル
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・東京都、新型コロナウイルス新規感染31人を確認 6日連続で20人超え
・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.


20200630issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月30日号(6月23日発売)は「中国マスク外交」特集。アメリカの隙を突いて世界で影響力を拡大。コロナ危機で焼け太りする中国の勝算と誤算は? 世界秩序の転換点になるのか?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

BIS、金と株価の同時バブルの可能性を警告

ワールド

トランプ氏、EUのX制裁金を批判 欧州は「悪い方向

ワールド

トランプ氏が120億ドルの農家支援策、関税収入充当

ビジネス

SBGとエヌビディア、ロボティクス新興に投資検討 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    米、ウクライナ支援から「撤退の可能性」──トランプ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中