最新記事

日本経済

日本の経常収支、4月は2627億円の黒字 前年同月比84.2%減

2020年6月8日(月)12時31分

財務省が発表した国際収支状況速報によると、4月の経常収支は2627億円の黒字となった。写真は2017年6月撮影(2020年 ロイター/Thomas White)

財務省が8日発表した国際収支状況速報によると、4月の経常収支は2627億円の黒字となった。輸出の減少が輸入の減少を上回ったことで貿易収支の赤字幅が拡大し、経常黒字は前年同月に比べて1兆3986億円(同84.2%減)縮小した。黒字額の縮小幅は2009年3月以降で最大となった。

貿易・サービス収支は1兆5967億円の赤字で、赤字幅は同1兆1134憶円拡大した。

貿易収支は9665憶円の赤字で、赤字幅は同8465億円拡大した。輸出が4兆9090憶円で、前年同月比1兆4666億円減少し、2009年10月以来の大幅減少となった。財務省は、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、主に米国の工場が停止したことで、輸出入ともに大きく落ち込んだとみている。

サービス収支は6302憶円の赤字で、同2669憶円赤字幅が拡大。旅行収支の黒字幅が大幅に縮小したことで、サービス収支は赤字幅が拡大した。

旅行収支は225億円の黒字だったが、黒字幅は同92%減少した。新型コロナウイルスの影響で訪日外国人旅行者数はわずか2900人(前年同月比99.9%減)で、インバウンド需要が蒸発したことが影響した。

第1次所得収支は1兆9835憶円の黒字で、黒字幅は前年同月比1664憶円縮小。証券投資収益の黒字幅が縮小したことが主因。

6月以降は経常収支改善の可能性、依然リスク高い

第一生命経済研究所・経済調査部の奥脇健史エコノミストは、5月も輸出入ともに減少する可能性を指摘。「経常収支の黒字額は依然として低水準で推移する可能性が高く、4-6月期の経常収支の悪化は避けられないだろう」と予測する。

6月以降については、新型コロナウイルスの感染第2波のリスクや、米中対立の先行きが不透明なことを踏まえ、「対外的な経済活動再開の兆しが見えることで経常収支も改善の方向に向かうが、どの程度改善するかは現時点で予測が難しい」との見方を示した。

*財務省の発表資料は下記。
http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

*内容を追加します。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染14人 2桁台7日連続
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・韓国ではなぜ新型コロナ第2波のリスクが高まったのか
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200616issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月16日号(6月9日発売)は「米中新冷戦2020」特集。新型コロナと香港問題で我慢の限界を超え、デカップリングへ向かう米中の危うい未来。PLUS パックンがマジメに超解説「黒人暴行死抗議デモの裏事情」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、ソマリランドを初の独立国家として正式承

ワールド

ベネズエラ、大統領選の抗議活動後に拘束の99人釈放

ワールド

ゼレンスキー氏、和平案巡り国民投票実施の用意 ロシ

ワールド

ゼレンスキー氏、トランプ氏と28日会談 領土など和
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中