最新記事

温暖化対策

温暖化阻止の取り組みは肉食メニュー排除で? ダボス会議に問われる本気度

2020年1月25日(土)11時31分

気候変動への抗議

WEFはここ数年、ダボス会議を環境に優しいものに変えていく動きを強めており、2020年の会議テーマとして「持続可能性」を選択した。

WEF関係者は、4年連続で、航空機での移動も含めた温室効果ガス排出量を100%オフセット(相殺)するなど、さまざまな取り組みを通じて、4日間にわたる会議の環境負荷はゼロになるだろうと述べている。

こうしたオフセットは、アマゾン熱帯雨林での持続可能性プロジェクト、中国、マリ、インド、南アフリカへの高効率調理用コンロ普及、地元農場でのバイオガス生産などへの投資によって実現されている。

WEFの広報担当者オリバー・キャン氏は、ダボス会議で公式に用いられる車両の90%はハイブリッド車または電気自動車になっており、今年は食品廃棄を測定する手段としてAIを試し、ほとんどの食品は地元で調達すると話していた。

あいかわらずプライベートジェットでの来場は続いているが、今年はチューリヒ空港で合成燃料と従来のジェット燃料を混ぜた低炭素燃料が販売されている。

「リーダーシップを見せることに尽きる」とキャン氏は言う。

だが、気候の非常事態を宣言する国や都市が増加し、活動家が街頭デモに繰り出すなかで、政治・ビジネスのリーダーたちにとって、この問題はますます切迫感を増している。

21日にWEFが発表したグローバル規模の世論調査によれば、30カ国約1万500人の回答者のうち、3分の2以上が、地球温暖化は人間活動が原因であると考えている。

17歳のグレタ・トゥーンベリさんは21日、席を埋め尽くした聴衆に向かい、1年前の自身の発言を繰り返して、「私たちの家はまだ燃え続けている」と語った。「あなたたちが行動しないことが火に油を注いでいる」

ダボスの中心街では、2日間のトレッキングを経てスキーリゾートにたどり着いた小規模な抗議グループが、気候変動対策の不足を批判している。

オルテン(スイス)から来た学生のマリラさん(19歳)は、フルネームを明かすことは拒否しつつ、トムソン・ロイター財団に対し「これは私たちが今日直面する最も重要な問題だ」と語った。

「何も手を打たなければ、人類は滅びるだろう」

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200128issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月28日号(1月21日発売)は「CIAが読み解くイラン危機」特集。危機の根源は米ソの冷戦構造と米主導のクーデター。衝突を運命づけられた両国と中東の未来は? 元CIA工作員が歴史と戦略から読み解きます。

17歳のグレタ・トゥーンベリさんは21日、席を埋め尽くした聴衆に向かい、1年前の自身の発言を繰り返して、「私たちの家はまだ燃え続けている」と語った。「あなたたちが行動しないことが火に油を注いでいる」

ダボスの中心街では、2日間のトレッキングを経てスキーリゾートにたどり着いた小規模な抗議グループが、気候変動対策の不足を批判している。

オルテン(スイス)から来た学生のマリラさん(19歳)は、フルネームを明かすことは拒否しつつ、トムソン・ロイター財団に対し「これは私たちが今日直面する最も重要な問題だ」と語った。

「何も手を打たなければ、人類は滅びるだろう」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アマゾンなど3社の株主、米移民政策の影響開示を要請

ビジネス

仏経済、26年上半期は0.3%成長へ 消費安定=I

ビジネス

アングル:フォードのEV撤退、政策転換と需要減の二

ワールド

高市首相の解散判断「容認」、議員定数削減前でも=吉
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中