最新記事

ビジネス

ビジネスジェットの私的利用、米企業の租税負担に重圧

2019年12月7日(土)11時55分

「投資家に損害」との非難も

今年初め、サンフランシスコを本拠とするヘッジファンド、ボース・キャピタル・マネジメントLLCは、保険会社アルゴ・グループ・インターナショナル・ホールディングズの取締役ポストを得るための戦略のなかで、適用除外となった控除に攻撃の的を絞った。

バーミューダに本拠を置く保険会社アルゴ・グループの2018年の純利益は6360万ドルだった。ボース・キャピタルは、社用機が「めまぐるしく世界各地を飛び回ったことにより」適用除外となった控除が積み上がり、投資家に損害を与えたと主張した。

アルゴ・グループはこの件に関してコメントを拒否している。同社は以前、幹部が社用機をプライベートな用途で使う場合は自費負担となっていると述べていた。だが、その費用の算出方法は開示されておらず、プライベート利用の結果失われた税額控除の詳細については明らかにしていない。

ボースの側でも、失われた税額控除については何の試算も示していない。同社にコメントを求めるメッセージを送ったが、回答は得られていない。

ただしボースは今年初め、ある声明のなかで、当時のアルゴ・グループCEOマーク・ワトソン氏とその家族が、2017年のクリスマス休暇中、アルゴ社保有のガルフストリーム機で「たいていの一般人であれば生涯最高の思い出になるような旅行」をしたと表現している。

この旅行は、テキサス州サンアントニオを出発し、バーミューダ、ニューヨーク、コペンハーゲン、インドのマラバル海岸、同じくインド北部のジャイプル、アムステルダムを経てテキサスに戻るという3週間の行程だった。

ボース・キャピタルは10月、アルゴ・グループの幹部報酬に関する情報開示について、SECが調査を進めていると述べた。それから数週間もしないうちに、ワトソン氏はアルゴ・グループを退社している。

(翻訳:エァクレーレン)

Tim McLaughlin

[ボストン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191210issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月10日号(12月3日発売)は「仮想通貨ウォーズ」特集。ビットコイン、リブラ、デジタル人民元......三つ巴の覇権争いを制するのは誰か? 仮想通貨バブルの崩壊後その信用力や規制がどう変わったかを探り、経済の未来を決する頂上決戦の行方を占う。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイGDP、第3四半期は前年比+1.2% 4年ぶり

ワールド

チリ大統領選、来月14日に決選投票 極右候補が優勢

ビジネス

アクティビストのスターボード、米ファイザーの全保有

ワールド

米NY州知事、法人税引き上げ検討 予算不足に備え=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中