最新記事

日本経済

日韓対立で旅行業界に激震 円高も追い打ち、インバウンド需要後退か

2019年8月8日(木)16時59分

ホテル株に警戒感が出ている。日韓関係の悪化でインバウンド需要に減少の兆しが出てきたためだ。写真は都内で2017年7月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

ホテル株に警戒感が出ている。日韓関係の悪化でインバウンド需要に減少の兆しが出てきたためだ。韓国からの訪日客は全体の約4分の1を占め、中国に次いで2番目に多い。一部の企業では売上高見通しの下方修正も見られ始めており、対立が長期化すれば悪影響が広がる可能性がある。

市況悪化に警戒

藤田観光は6日、2019年12月期の連結売上高予想を従来予想の720億円から703億円に17億円引き下げた。WHG事業(ワシントンホテルとホテルグレイスリー)において、競合との価格競争や、最近の国際情勢によるインバウンド集客への影響が約5億円の減収要因になるとした。

同社では、福岡を中心とした西日本エリアや、北海道の札幌でキャンセルや予約の伸びの鈍化がみられている。首都圏でも、韓国からのインバウンドが多い周辺ホテルが値下げしてでも稼働を上げたいと宿泊価格を引き下げ始めるため、価格競争に巻き込まれる間接的な影響が出てくるという。

藤田観光のインバウンド需要の構成は韓国が13%程度。中国の45%に比べるとボリューム感は小さいが「影響が出ていることは事実だ」(広報担当)という。中国の広州に中国で2番目となる拠点を開設して誘客を強化しているが、それをもってしても減収をカバーしきれない見込みだ。

市場では「そのホテル自体に韓国観光客が少ないとしても、他のホテルでキャンセルなどが出て、周辺の相場が下がってしまうと価格の引き下げに追随せざるを得ない。需給バランスの緩みによる市況への影響の方が心配だ」(国内証券)との声が出ている。

一方、外食事業やホテル事業を手がけるロイヤルホールディングスからは、ホテルよりも空港にある店舗に直接的な影響がある、との声が出ていた。福岡空港の国際線ターミナル内にあるレストランや売店などで売り上げの減少がみられるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

フォトレジストに関する貿易管理変更ない=対中出荷停

ワールド

ハマスが2日に引き渡した遺体、人質のものではない=

ビジネス

日経平均は続伸、AI関連株が押し上げ 全般は手掛か

ワールド

韓国GDP、第3四半期は前期比+1.3% 速報値か
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 7
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 8
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中