最新記事

経済理論

「左派的ただ乗り論」と叩かれるMMT トランプの政策と親和性持つ皮肉

2019年8月14日(水)12時16分

新常態

オバマ政権やクリントン政権の経済政策に深く関与してきたサマーズ元財務長官など、ケルトン氏を批判する人々の一部も、米国が以前ほど借金を懸念しなくてよく、公共投資の不足をもっと気に掛けるべきで、将来の経済政策では財政にずっと大きな役割を与えるべきだということには同意している。

ただどうしても受け入れられないのは、ケルトン氏らが、連邦債務が拡大し過ぎるリスクがあるとの主流派経済学者の主張について、米政府が自国通貨で借り入れをしていることを踏まえれば大げさであり、過剰なインフレの脅威は規制と増税で抑え込めると強調している点だ。サマーズ氏は、こうしたMMTの理論を怪しげなことを意味する「ブードゥー経済学」だと呼び、全面的に否定した。

一方ヘッジファンド運営会社ブリッジウオーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏といった論客は、ケルトン氏が掲げるような政策は「新常態(ニュー・ノーマル)」の経済では「避けがたい」存在になっているとみている。

金利が歴史的な低水準に沈み、物価が低迷している今、中央銀行当局者たちも、果たして次の景気悪化局面を乗り切る金融政策手段があるのか、それがないならどうやって経済を浮揚させるべきか自問自答しているありさまだ。

MMT推進派によれば、こうした現実こそが、議会が完全雇用と適切な需要を確保するために素直にお金を使い、財務省が小切手を切り、FRBがそれをカバーするために紙幣を刷るという方向への政策転換が必要なことを表しているという。

(Howard Schneider記者)

[セトーケット(米ニューヨーク州) ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



2019081320issue_cover200.jpg
※8月13&20日号(8月6日発売)は、「パックンのお笑い国際情勢入門」特集。お笑い芸人の政治的発言が問題視される日本。なぜダメなのか、不健全じゃないのか。ハーバード大卒のお笑い芸人、パックンがお笑い文化をマジメに研究! 日本人が知らなかった政治の見方をお届けします。目からウロコ、鼻からミルクの「危険人物図鑑」や、在日外国人4人による「世界のお笑い研究」座談会も。どうぞお楽しみください。

20201027issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月27日号(10月20日発売)は「日本人が知らない ワクチン戦争」特集。新型コロナワクチンの開発と獲得でなぜ後手を踏んだか。日本人はいつ接種できるのか。

関連ワード

ニュース速報

ワールド

オバマ前米大統領、激戦州でバイデン氏応援へ 大統領

ビジネス

マイナス金利、現時点では不適切=ラムスデン英中銀副

ワールド

世界貿易額、20年は前年比7─9%減 持ち直しも=

ビジネス

FRB、金融安定リスクへの注視必要=クリーブランド

MAGAZINE

特集:日本人が知らないワクチン戦争

2020-10・27号(10/20発売)

全世界が先を争う新型コロナのワクチン確保 ── その最前線と日本の開発が遅れた本当の理由

人気ランキング

  • 1

    スリランカが日本支援のライトレール計画を中止したのは......

  • 2

    インドネシア大統領ジョコ、米国の哨戒機給油要請を拒否

  • 3

    中国のネットから消された「千人計画」と日本学術会議研究者たち

  • 4

    菅首相、訪問先のインドネシアで500億円の円借款供与…

  • 5

    見つかれば射殺......コロナ禍を生き抜く北朝鮮のコ…

  • 6

    落選後のトランプは、恩赦? 逮捕? それとも亡命?

  • 7

    「O型の人は新型コロナにかかりづらく、重症化しづら…

  • 8

    新疆ウイグル自治区で行われる大量不妊手術と強制避…

  • 9

    金正恩「女子大生クラブ」主要メンバー6人を公開処刑

  • 10

    共和党が自作の投票箱を「公式」と偽って設置する無…

  • 1

    習近平、中国海兵隊に号令「戦争に備えよ」

  • 2

    注意喚起、 猛毒を持つふさふさの毛虫が米バージニア州で相次いで目撃される

  • 3

    アフリカ支援を渋りはじめた中国──蜜月の終わりか

  • 4

    スリランカが日本支援のライトレール計画を中止した…

  • 5

    中国のネットから消された「千人計画」と日本学術会…

  • 6

    在韓米軍、駐留費引き上げで合意なければ韓国人職員9…

  • 7

    トランプ「土壇場の大逆転」2度目は空振り? 前回と…

  • 8

    トランプが台湾に売った対中兵器の中身

  • 9

    韓国は中国を気づかって、米日豪印4ヶ国連携「クアッ…

  • 10

    中国の傲慢が生んだ「嫌中」オーストラリア

  • 1

    中国人民解放軍、グアムの米空軍基地標的とみられる模擬攻撃の動画公開

  • 2

    日本学術会議は最後に大きな仕事をした

  • 3

    韓国ネット民、旭日旗めぐりなぜかフィリピンと対立し大炎上に

  • 4

    金正恩「女子大生クラブ」主要メンバー6人を公開処刑

  • 5

    習近平、中国海兵隊に号令「戦争に備えよ」

  • 6

    その数333基、世界一のダム輸出国・中国の「無責任」

  • 7

    注意喚起、 猛毒を持つふさふさの毛虫が米バージニア…

  • 8

    日本がついに動く実物大のガンダムを建造、ファンに…

  • 9

    中国軍の侵攻で台湾軍は崩壊する──見せ掛けの強硬姿…

  • 10

    スリランカが日本支援のライトレール計画を中止した…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月