最新記事

G20

G20大阪サミット、トランプが貿易を最優先に議論 中国首脳は保護主義批判

2019年6月28日(金)15時25分

トランプ米大統領は、大阪で開幕した20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で貿易を最優先課題として議論する姿勢を鮮明にした。写真は大阪で撮影(2019年 ロイター/Kevin Lamarque)

トランプ米大統領は28日、大阪で開幕した20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で貿易を最優先課題として議論する姿勢を鮮明にした。一方、中国首脳は保護主義の拡大を批判し、インドとロシアは多国間の通商ルールを擁護した。

トランプ大統領は安倍晋三首相とインドのモディ首相との個別会談を前に、貿易を議論すると強調。数日前には日米安保条約を批判し、インドが発動した米国製品への報復関税の撤回を求めていた。

モディ首相との会談の冒頭では「非常に大きな通商合意」を発表することになると述べた。また、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の問題も提起すると語った。

「ファーウェイには現実として米国が多くの部品を販売している。そのことやインドがどのように関係してくるかについて議論する」とした。

ホワイトハウスの当局者は、次世代通信網からファーウェイを排除するよう同盟国に呼び掛ける米政府の方針を念頭に、トランプ氏は安倍首相とモディ首相に「耐性のある安全なインフラ」を推す考えだと説明した。

一方、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は記者会見で、米中の通商関係は「困難」な状況にあり、「世界経済の減速につながっている」との見方を示した。

中国の習近平国家主席は、一部の先進国が取る保護主義的措置を批判。G20サミットに合わせて開かれたBRICs首脳会合で「このすべてが世界の貿易秩序を破壊している。また、われわれの国々の共通の利益に影響を及ぼし、世界規模で平和と安定に影を投げかけている」と強調した。

WTOを擁護

BRICs首脳会合でモディ首相は多国間の枠組みである世界貿易機関(WTO)の改革に注力するよう呼びかけ、ロシアのプーチン大統領はWTOの「廃止や役割低下に向けた試みは非生産的だと考えている」と訴えた。

プーチン氏は世界経済は懸念すべき状況にあり、世界の貿易は「保護主義と政治的な動機に基づく制約」の影響を受けているとの認識を示した。

トランプ氏は安倍首相との会談の冒頭でも貿易に言及。「多くの議題について話し合い、貿易についてもたくさん議論することになる」と述べた。

また、日系自動車メーカーがミシガン、オハイオ州などで事業を展開していることについて謝意を表明した。

トランプ氏は日本による米国製の防衛装備品の購入を取り上げる考えを示したが、会談後の日本側の説明によると、実際は議論されなかった。

安倍首相は会談の冒頭で、3カ月連続の首脳会談が強固な日米同盟の証であると強調した。

茂木敏充経済再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は28日午後、大阪で閣僚級の貿易交渉を行う。

トランプ大統領はドイツのメルケル首相との会談を前に記者団に対し、メルケル氏は「私の素晴らしい友人だ」と述べ、両国間の貿易を高く評価した。

[大阪 28日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ワールド

ウクライナ南部オデーサに無人機攻撃、2人死亡・15

ビジネス

見通し実現なら利上げ、不確実性高く2%実現の確度で

ワールド

米下院、カリフォルニア州の環境規制承認取り消し法案
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中