最新記事

自動車

トヨタ「モビリティ・カンパニー」目指し配車サービスへ投資 陰の主役はソフトバンク?

2018年6月27日(水)11時15分

トヨタ自動車が東南アジアの配車サービス最大手グラブに出資するなど配車サービスの有力企業との連携を強めている。写真はトヨタ自動車のロゴ。昨年10月にロサンゼルスのモーターショーで撮影(2017年 ロイター/Mike Blake)

トヨタ自動車が東南アジアの配車サービス最大手グラブに出資するなど配車サービスの有力企業との連携を強めている。急成長する同市場での主導権確保が狙いだが、トヨタ社内には「収益がいつ、どの程度出るかは見えてない」(同社幹部)という手探り感も漂う。一方、トヨタが接近する配車サービス各社はソフトバンクグループが筆頭株主だ。新たなビジネスモデルを模索するトヨタの葛藤がソフトバンクを潤すという皮肉な構図も透けて見える。

「投資効果分からず」

  

トヨタによるグラブへの出資額は10億ドル(約1100億円)。年間2兆円台の利益を稼ぐトヨタには「たいした額ではない」(同幹部)が、マツダなど中堅自動車メーカーの1年間の研究開発費に匹敵する規模だ。トヨタは取締役と執行役員も1人ずつ送り込む。

「今ベストと思う会社と組み、やれることをやる。競合に奪われる前に先手を打ち、種をまく」と同幹部は投資の狙いを説明するトヨタ自動車<7203.T>が東南アジアの配車サービス最大手グラブに出資するなど配車サービスの有力企業との連携を強めている。。ただ、「何年後にどの程度の収益が出るかなんて正直分からない。どんな花が咲くか誰も分かっていない」と成果については慎重だ。

トヨタは昨年8月にグラブとの協業を発表。グラブは運転手向けリース車100台にトヨタが開発した通信端末を搭載して走行データを集め、安全運転なら保険料が安くなるなどのサービス開発につなげてきた。

グラブは東南アジア地域8カ国217都市で事業を展開。今年3月には競合の米ウーバー・テクノロジーズ[UBER.UL]から同地域の事業を取得した。トヨタは出資後、データをさらに蓄積し、運転手向け金融・保守管理サービスを全域に広げ、将来の移動サービスや専用車両の開発でも連携。宅配などの用途を見込む自動運転機能を搭載した商用電気自動車「イーパレット」の同地域での展開も検討する。

グラブやウーバー、中国の滴滴出行などが手がける配車サービス事業は「ライドシェア」とも呼ばれ、個人が自家用車やリース車をタクシー車両として使ってタクシー運転手として稼ぐ。出資額は非公表だが、トヨタは16年にウーバーにも出資。今年1月にはイーパレットでウーバー、滴滴出行などとも提携した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政府機関の一部閉鎖始まる、党派対立でつなぎ予算不

ビジネス

日産が「エクステラ」復活と売れ筋2車種の強化検討、

ワールド

G7財務相、ロシアへの圧力強める姿勢を共有=加藤財

ビジネス

米ADP民間雇用、9月ー3.2万人で予想に反し減少
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」してしまったインコの動画にSNSは「爆笑の嵐」
  • 3
    なぜ腕には脂肪がつきやすい? 専門家が教える、引き締まった二の腕を手に入れる方法
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 6
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 7
    【クイズ】身長272cm...人類史上、最も身長の高かっ…
  • 8
    通勤費が高すぎて...「棺桶のような場所」で寝泊まり…
  • 9
    アメリカの対中大豆輸出「ゼロ」の衝撃 ──トランプ一…
  • 10
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 1
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけではない...領空侵犯した意外な国とその目的は?
  • 4
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 7
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 8
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 9
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 10
    週にたった1回の「抹茶」で入院することに...米女性…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中