最新記事

娯楽産業

「ディズニーランドそばに独身寮」オリエンタルランドの狙いは?

2017年12月27日(水)12時00分
島 大輔(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

ディズニーシーのシンボル「プロメテウス火山」を望む立地に建設されている独身寮(編集部撮影)

JR舞浜駅から徒歩15分、オリエンタルランド(OLC)本社から同10分ほどの場所に建築中の8階建ての集合住宅。総戸数249のこの物件は、OLCが2018年2月末の完成に向け建設中の社員向け独身寮だ。その狙いは「約10カ所に点在している社員寮を集約するほか、正社員の増加に対応するため」(同社広報)。

前2016年度には、テーマパークで働くキャスト(アルバイト)の管理などを担当する契約社員821人を正社員化。OLC単体の正社員数は2016年3月末の2230人から、2017年3月末には3146人に急増している。

独身寮が必要な本当のワケ

背景にあるのが、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーともに目白押しの開発計画と、全国的な人手不足だ。

来2018年度に開園35周年を迎える東京ディズニーリゾートでは、東京オリンピックが開催される2020年に向け、総投資額800億円超と、2001年のディズニーシー開業以来の大規模投資プロジェクトを進めている。

2019年度にはディズニーシーに大型アトラクション「ソアリン(仮)」がオープン。2020年春にはディズニーランドに『美女と野獣』エリアの開業が予定されている。キャストの管理を担う人材の正社員化は、こうした新施設のオープンをにらんだものでもある。

さらに、会社側は正式発表をしていないものの、2020年以降には平面駐車場を一部立体化し、ディズニーリゾートの敷地拡張と『アナと雪の女王』関連新施設の建設など、さらなる大規模開発が検討されている。

toyokeizai171227-2.png

「急募」の求人チラシ

一方、足元で喫緊の課題となっているのが全国的な人手不足の影響によるキャストの採用難だ。

2017年の11月以降、キャストの採用を担う東京ディズニーリゾート キャスティングセンターが近隣の住宅地などに求人チラシを投函。物販施設の19時以降のクローズシフトを募る「急募」という表現からは、クリスマスシーズンや年末年始の繁忙期に向けた採用への切迫感も感じられる。

toyokeizai171227-3.png

ディズニーリゾートで働くキャストは平均1.5万人以上。OLC側も「計画どおりの採用数は確保できているが、特に飲食や物販関連のキャストは採用に力を入れないと集めにくくなっている」と明かす。

同社の次の一手として大型開発計画ばかりが話題になるが、実質的な手元資金(ネットキャッシュ)は約2180億円(2017年9月末)と、財務的な懸念は少ない。むしろ新施設を支える社員・キャストの数と質をいかに確保するかが、今後のカギを握っている。

オリエンタルランドの会社概要は「四季報オンライン」で

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏のウクライナ和平案、改善必要な面も=仏大

ワールド

高齢化は「時限爆弾」、経済成長を圧迫=EBRD

ワールド

タイ南部豪雨被害、救援物資乗せた空母派遣へ 洪水で

ビジネス

日経平均は小幅反発、ソフトバンクGが上値抑える
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 8
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中