最新記事

家具

実は不調? ニトリ・無印を追うイケア・ジャパンの巻き返し策

2017年8月28日(月)17時31分
中山一貴(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

全商品の1割近くに当たる800品目以上を平均22%値下げする(写真:大澤 誠)

家具販売世界最大手のイケア。スウェーデン発祥で、28カ国に340店舗を展開し売上高は4兆円を超える。シンプルでおしゃれな北欧デザインの家具や雑貨には日本でもファンが多い。だが、日本法人の業績が伸び悩んでいることはあまり知られていない。

8月24日、日本法人のイケア・ジャパンは2018年度(2017年9月~2018年8月)の事業戦略・新商品説明会を開いた。大幅値下げ、著名デザイナーとのコラボ、ペット家具の発売などを発表。会場のリビングやダイニング、子ども部屋をイメージしたショールームには、多くの新商品を彩り豊かに並べていた。

日本では成長鈍化に悩むイケア

華やかな説明会の陰で、イケア・ジャパンの業績は冴えない。親会社を含めて非上場のため開示されている情報は少ないが、決算公告によると売上成長は2014年度を境に鈍化。2016年度の売上高は767億円で、同社が2020年までの目標に掲げる「1500億円」には程遠い。

toyokeizai170828-2.png

2006年に日本1号店を千葉県船橋市にオープンしてから10年以上が経つが、店舗数は熊本の小型店1店を含めても9店のみ。2018年度の出店計画も1店で、目標とする2020年までの全国14店体制達成には黄色信号が灯る。

売り上げと出店ペースが伸び悩む中、2013年度に87億円あった営業利益も、2016年度には5分の1未満の16億円まで激減した。営業利益率は2.2%で、イケアグループ全体の12.8%から大きく見劣りする。

イケア・ジャパンはなぜここまで苦戦しているのか。2016年8月に社長に就任したヘレン・フォン・ライス氏は、「他社との競争が激化している。特にニトリの拡大が著しい」と話す。

北海道発祥のニトリは、1987年度(1988年2月期)から30期連続で増収増益を達成。売上高5129億円、営業利益857億円、営業利益率16.7%を誇る日本最大の家具小売りチェーンだ。2017年度も増収増益を見込む。国内では47都道府県すべてに進出済み。店舗数は小型「デコホーム」業態を含めると400店を超え、年間40~50店の驚異的なハイペースで拡大を続けている。

toyokeizai170828-3.png

生活雑貨が主体の「無印良品」を展開する良品計画も家具事業の強化に余念がない。完全子会社で家具を販売するイデーの運営会社を9月に吸収合併する計画だ。国内の店舗数はこちらも400店以上だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年2月以来の低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 7

    ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による…

  • 8

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中