最新記事

中国経済

中国株式市場、メッセージアプリが突く規制の穴

1つの取引口座を多数のサブアカウントに分割するアプリなど規制を逃れる手法が横行

2016年1月6日(水)11時17分

1月6日、中国の株式市場では、投資家や証券会社の間でモバイルメッセージアプリなどソーシャルメディアの利用が急速に広がり、当局が取引を監視したり違法な動きを取り締まる上で障害となっている。写真は北京で5日撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 中国の株式市場では、投資家や証券会社の間でモバイルメッセージアプリなどソーシャルメディアの利用が急速に広がり、当局が取引を監視したり違法な動きを取り締まる上で障害となっている。

 中国では取引におけるソーシャルメディアの利用自体は違法ではない。しかしインサイダー取引や市場操作などを防ぎ、行き過ぎた信用取引など市場の安定を損ないかねない動きを抑え込むために、確実な監視と取引記録の保持が義務付けられている。

 中国証券監督管理委員会(CSRC)は昨年9月に取り締まりを実施し、社外のシステムを通して株を取引した顧客に関して十分な身元情報を集めていなかった証券会社4社などを摘発した。

 また地元メディアによるとCSRCは、ブローカーが利用していた、トレーダーの規制逃れに使える外部の取引ソフトについても使用を禁止した。このソフトを使うと氏名の登録をせずに1つの取引口座を多数のサブアカウントに分割することが可能だった。

 しかし当局の取り締まりにもかかわらず、モバイル経由で株式を売り買いするソフトは中国では既に当たり前になっている。

 中国銀河証券<6881.HK>と長城証券は昨年、個人投資家の獲得を狙って、モバイル向けチャットアプリ「微信(ウィーチャット)」上での株式取引口座開設サービスを開始。中国では株式取引の80%を個人投資家が占める。

 さらに一部の機関投資家は、ブローカーへの指示すらもメッセージアプリを通じて行っている。

 香港に拠点を置く中国を専門とする機関投資家向けセールストレーダーは「実際にはほとんどの人はコンプライアンス(法令順守)など気にかけておらず、ウィーチャットで注文を受けている」と話した。

 もっともソーシャルメディアの普及に伴う規制面でのリスクの高まりという問題は中国に限ったことではない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、5万円達成で利益確定売り

ワールド

日米首脳きょう会談、対米投資など議論 高市氏「同盟

ビジネス

韓国GDP第3四半期速報、前期比+1.2%に加速 

ビジネス

バークシャー、KBWが「売り推奨」、バフェット氏退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中