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フェイスブックの難民支援は慈善では済まない

2015年9月29日(火)17時09分
ローレン・ウォーカー

 米当局がついて議論を始めた当初は、ゼロレーティングに関する配慮はほとんどなく、議論の対象になったのは通信速度の平等だった。だが今はゼロレーティングによる料金体系の不平等のほうが重視されはじめた国もある。例えばインドでは、ネットワーク中立性に関する懸念を理由に2社がInternet.orgへの参加を見合わせている。

「ネットワーク中立性の議論の根本にあるのは差別の防止だが、防止だけでは不十分だ」。Internet.orgプロジェクトを発表する動画のなかで、ザッカーバーグは語る。「われわれは一歩進んで、社会的弱者の地位を引き上げる必要がある。(中略)インターネット料金を支払えない人がいるのであれば、たとえそのアクセスが限られたものであっても、まったくできないよりははるかにましだ」

1日のユーザーが10億人を突破

 しかし小規模企業や起業家は、フェイスブックのような巨大企業が通信事業者と極秘で有利な取引を行なって、無料のアクセスを提供するだけでなくコンテンツも選別するのではないか、と警戒する。行きつく先は、ユーザーのさらなる囲い込みだ。

「大手に対するハンディをなくさない限り、世界は、第二のフェイスブックやグーグル、ツイッターからの恩恵が受けられなくなるだろう」と、ブラウザの「ファイヤーフォックス」で知られる米モジラ・コーポレーションの商務・法務担当部長のデネル・ディクソン=セイヤーはブログで言う。

 先月、フェイスブックは重要な節目を迎えた。1日のフェイスブック・ユーザーが初めて10億人を超えたのだ。競争相手が懸念するのも無理はない。

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