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テスラが参入する家庭用蓄電池 ライバル候補も続々名乗り

2015年8月27日(木)17時00分
高森郁哉(翻訳者、ライター)

 サンディエゴ・ユニオン・トリビューンが今月20日の記事で取り上げた、地元の新興企業オリソンが発売する「タワー」(2kWh、1995ドル)と「パネル」(2kWh、1600ドル)は、室内に置けるインテリア風のデザインと、購入者が自ら設置できる手軽さが売りだ。いずれもLEDライトを搭載し、据え置き型室内灯に似た外観のタワーはブルートゥース接続スピーカー、携帯電話などを充電できるUSBポートも備える。1100ドルの追加バッテリーを増設して組み合わせると、合計4900ドルで8kWhの蓄電池システムを構成できるという。



 ロンドンに拠点を置く新興企業パワーボールトも、低価格の家庭用充電池市場への参入を目指す。PVマガジンの記事によると、同社はクラウドファンディングで70万ポンド(約110万ドル)の調達に成功。2kWhのシステムを2000ポンド(3140ドル)、4kWhのシステムを2800ポンド(4400ドル)で売り出す計画で、価格にはインバーターも含むシステム全体が含まれ、1人の技術者が1時間足らずで設置できるという。

 コストパフォーマンスの点では、オリソンのほうがパワーボールトよりも有利だが、いずれも室内置きで楽に導入でき、ソーラーパネルと組み合わせなくても追加費用が発生しないことから、集合住宅や賃貸物件に住む人でも検討しやすいのではないだろうか。テスラの製品が市場に出始めれば、既存のメーカーも対抗せざるを得なくなるし、価格、性能、使い勝手の点で、家庭用蓄電池がこの1〜2年で大きく動くのは間違いないだろう。


[執筆者]
高森郁哉
米国遊学と海外出張の経験から英日翻訳者に。ITニュースサイトでのコラム執筆を機にライター業も。主な関心対象は映画、音楽、環境、エネルギー。

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