最新記事

貿易自由化

TPP合意に立ちはだかる最大最強の「障壁」

2015年5月18日(月)14時57分
デービッド・シロタ、マシュー・カニンガムクック

 TPPに関しては、「為替操作の阻止、労働者の権利強化、環境と健康の改善、透明性の向上、国内の中小企業による輸出機会の拡大に関する動向を注視していく」という。

 クリントンが通商政策で態度を豹変させるのは、今回が初めてではない。08年の大統領選に出馬した際、NAFTA(北米自由貿易協定)の見直しを主張したが、同協定は夫のビルが大統領を務めたときに成立したものだ。米国内で賛否が分かれた協定だったが、クリントンは夫と共にこれを支持していた。

 08年の大統領選時にコロンビアとの自由貿易協定への反対を表明していたにもかかわらず、わずか2年後に国務長官として推進の立場に回ったこともあった(クリントン家の財団は、コロンビアの石油会社とその創業者から寄付を受けていた)。

 TPP反対の進歩派は、今回のクリントン陣営の動きを一応歓迎している。「(クリントンが)TPPに懸念を示したことは歓迎したいが」と、TPP合意阻止を議会に呼び掛けている非営利団体「クレド・アクション」のムルシェド・ザヒード副政治部長は言う。「TPPのように秘密裏で進められる貿易交渉を阻止するには、議会の結論が出る前にTPA法案への反対を強力に主張してほしい」

 クリントンは、同法案への賛否をまだ明らかにしていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三井住友FG、米ジェフリーズに1350億円を追加出

ワールド

ウクライナ、新たなIMF融資模索 現行融資は27年

ワールド

マクロスコープ:自民総裁選、高市氏に立ちはだかる二

ビジネス

英公的部門借入、公式予測を大幅に上回る 財務相の課
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中