最新記事

ギリシャ債務問題

ナチス被害の宣伝ビデオでドイツに圧力

デフォルト回避に知恵を絞らず歴史問題を蒸し返すツィプラス政権

2015年5月26日(火)14時21分
フェリシティ・ケーポン

なりふり構わず ドイツが強く求める緊縮財政にギリシャ国民は猛反発 Yannis Behrakis-REUTERS

 ギリシャの首都アテネの地下鉄駅にある電子掲示版で、第二次大戦中のナチス・ドイツ占領で受けた被害を見せる映像が流れ始めた。ナチス侵攻を警告する41年4月のラジオ音声、餓死する人々や破壊された村の写真などを使った50秒間のビデオで、「ドイツはギリシャに借りがある」の言葉で締めくくられる。

 1月末に発足したツィプラス政権は数カ月前から、ナチス占領への賠償金支払いをドイツに要求している。ギリシャ側の見積もりで3000億ユーロ前後と、金融支援を受けているEUなどへの債務を返済できる額だ。

 ギリシャは先週、期限を迎えたIMF(国際通貨基金)への7億5000万ユーロの債務を完済した。だがEUの財務相会合では、凍結中の72億ユーロの融資再開が見送られた。ツィプラス政権が選挙公約だった「反緊縮」を守るとし、明確な財政改革案を出してこないからだ。

 こんな時期に債権者を非難するような宣伝ビデオを作る暇があったら、デフォルト(債務不履行)回避策を真剣に考えたほうがいいと思うが。

[2015年5月26日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 6
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中