最新記事

ファストフード

肉の品質問題でマクドナルドが30%減益

競合チェーンに客を奪われ、「マックのビーフは本物だ」と必死にアピール

2014年10月23日(木)16時23分
ミーガン・クラーク

世界的現象 マックの8月の売上高は10年以上前の水準まで落ち込んだ(写真は香港)

 米マクドナルドは21日、第3四半期(7〜9月期)決算を発表した。今年の夏に中国の仕入先が当局に摘発された事件が大きく響き、純利益は前年同期比30%のマイナスになった。チェーン展開する主要国すべてで客足が遠のき、世界全体とアメリカ国内の既存店売上高はいずれも前年同期比で3.3%減少した。

「あらゆる指標から見て、当期の業績はわれわれの予想を下回った」と、ドン・トンプソンCEOは声明で認めた。トンプソンは前年同期比で業績が「著しく低下」した理由として、実効税率の引き上げ、アメリカ市場での「業績不振」、ヨーロッパとアジアにおける「異常な出来事」を挙げた。

 今年7月末、上海のテレビ局の潜入取材で、マクドナルドなど外食産業大手と取引のあった上海福喜食品の衛生管理の杜撰さが明らかになった。同社の工場では、従業員が床に落ちた肉を拾って機械に入れる、日付を改竄して消費期限を過ぎた肉を使うなど、当局の検査の目を逃れて、不衛生極まりない慣行がまかり通っていた。マクドナルドは同社からのチキンマックナゲットの調達を中止し、中国のチェーン全店で肉を使った商品を一時期メニューからなくした。この騒ぎの影響でマクドナルドの8月の売上高はここ10年余りの月間売上で最低に落ち込んだ。

 マックバーガーの肉の品質については以前から消費者やメディア、業界関係者から疑問の声が上がっていた。マクドナルドは11年にアンモニア消毒をした牛肉の使用をやめると発表。12年には、人気シェフのジェイミー・オリバーが「ピンクスライム」と呼んだバーガー用の骨なし成型肉(くず肉や内臓などを結着剤で固めたもの)の使用中止を発表した。イギリスでは骨なし成型肉はドッグフードや鶏の飼料にされ、人間が食べる食品への使用は禁止されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン大統領、マイクロンへの補助金発表へ 最大6

ワールド

米国務長官、上海市トップと会談 「公平な競争の場を

ビジネス

英バークレイズ、第1四半期は12%減益 トレーディ

ビジネス

ECB、賃金やサービスインフレを注視=シュナーベル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中