最新記事

ヨーロッパ経済

本丸ドイツに飛び火したユーロ危機

ドイツ国債の異例の「札割れ」はユーロ圏の優等生国家にも危機が波及する前触れか?

2011年11月25日(金)14時34分
マイケル・ゴールドファーブ

肩を落として メルケル独首相も債務危機の火の粉は避けられなかった Fabrizio Bensch-Reuters

 11月24日のサンクスギビング(感謝祭)はもともとアメリカの祝日だが、アメリカ文化がすっかり浸透しているヨーロッパも同じようなお祭りムードで盛り上がる。しかし、今年の感謝祭は違った。

 前日の23日、ユーロ圏の債務危機が遂にドイツに波及した。ドイツ政府が10年物国債の入札を実施したところ、応札額が募集額の3分の2にとどまった。この異例の「札割れ」は、ユーロの存続は不可能と投資家がみている明確な証拠だ。

 ドイツ経済は安全と考えられているため、国債の利回りは2%前後とそれほど高くない。ギリシャやイタリア、スペイン、ポルトガルのような政府債務問題もない。そんなドイツでも国債を買ってもらえない。

 トレーダーたちは、入札が不調に終わったことの意味を先を争って説明しようとした。すべてが、悲観的な解釈だった。

ECBの関与強化は求めないことに

 24日朝には、ドイツ国債の利回りは上昇を始めた(ドイツ国債の価格下落に等しい)。世界有数の強くて均衡の取れた経済を誇り、ユーロ圏の原動力でもあるドイツに、市場はより高い金利を要求し始めたのだ。

 これでドイツの指導者たちもやっと、債務危機と闘うには欧州中央銀行(ECB)がユーロ諸国の国債を買い取って市場に資金を供給するなどの機能拡大に同意するだろうか。それとも彼らはあくまで抵抗し、ユーロ崩壊を迎えても仕方ないと考えるのか。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相、フランスのニコラ・サルコジ大統領、イタリア首相に就任したばかりのマリオ・モンティは24日、仏北東部ストラスブールで首脳会談を行った。欧州債務危機をめぐるこの話し合いで、ECBの機能拡大は重要課題の一つとなった。しかし結局、ECBの独立性を尊重し、債務危機への対応を強化することは求めないという結論に落ち着いた。

 ヨーロッパの人々がこの会談の結論を感謝したのかどうかはわからない。ただイギリスのようなユーロ圏外に暮らす人々にも、今年の感謝祭がちょっとむなしく思えたことは確かだろう。英国家統計局の最新統計によればイギリスでは昨年、平均給与が1.4%上昇した。しかし5%を超えるインフレ率を加味すれば、実質所得は3.6%減だったのだから。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 9
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中