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遂に来た、アップルタブレットの衝撃度

27日についに謎のベールを脱ぐアップルの新型パソコンは、出版、テレビ、ゲームなどあらゆる業界の仕組みを根本から変えるかもしれない

2010年1月27日(水)18時21分
ニック・サマーズ

キンドル絶滅危機? アップルのタブレットの機能はキンドルより格段に上だと噂される(ニューヨークの地下鉄を待つ間にキンドルで読書する男性) Lucas Jackson-Reuters

 アップルのタブレット型パソコンの全貌が明らかになるまで、24時間以内に迫っている(1月27日に行われるプレスイベントで発表される予定だ)。新製品の実体を隠し通すスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)の鉄壁の守りをすり抜けて、詳細な情報が少しずつ漏れ出ている。

 新製品は「キンドル・キラー」になる、いやゲーム機器だろう、単に大きなiPhoneだ――最初の頃はそんな憶測が流れたが、どうやらそのすべてが当たりらしい。タブレットはあらゆる業界のルールを変えるような製品になる可能性がある。最新の噂とゴシップの詳細をまとめてみた。

■電子書籍 アマゾンのキンドルにとっては生き残りが厳しくなりそうだ。ビジネスウィーク誌によれば、アップルは既にハースト、マグローヒル・カンパニーズ、アシェットなどの出版社と接触し、コンテンツ利用をめぐる話し合いを進めているという。

 キンドルのユーザーは、使いやすいインターフェースと目にやさしいEインクのディスプレ-に満足しているが、ディスプレーは白黒でページ切り替えにも時間がかかる。

 一方、アップルの新製品は多彩な機能をそろえているはずだ。カラーディスプレーにウェブブラウザ、友人に書籍を「貸す」ことができる電子メール機能。どれもキンドルを前時代的な製品に見せてしまうだろうと、専門家は予測する。 

 ブログ「9to5マック」によると、(高い手数料を取る)キンドルと異なり出版社側に料金の主導権を渡すことで、アップルは大手出版社の取り込みに成功しているという。

■新聞・雑誌 ニュースメディアはこの10年、ただで読めるオンラインニュースに読者を奪われて瀕死の状態だ。だがニューヨーク・タイムズは1月25日付けの誌面で、アップルのタブレットがニュースメディアを救うと報じ、新製品を実際に目にした人々のインタビューを掲載している。

 着メロや音楽のダウンロードから、テキストメッセージのやり取りに至るまで、消費者はモバイル機器のさまざまな機能にカネを払うことに積極的だ。iTunesストアへの登録者が増えている今、新聞社や出版社が自社の洗練されたオンラインコンテンツに課金できる日は近いかもしれない。

■テレビ iTunesストアでのテレビ番組の販売を伸ばすため、ドラマの1エピソードの料金を1.99ドルから0.99ドルに値下げするようアップルがテレビ局各社に求めていると、フィナンシャル・タイムズ紙は報じている。

 今でもiPhoneでビデオを視聴することはできるが、とても快適とは言えない。目は疲れる、バッテリーは長持ちしないし、常に一定の角度でiPhoneを持つか、さもなければイーゼルみたいなアクセサリーで固定しておかなければならない。25センチと画面の大きなブレットが、こうした問題の多くを解決してくれるかもしれない。

 フィナンシャル・タイムズはまた、アップルが月額30ドルの視聴サービスを検討していると報じている。テレビの人気番組をパッケージで売ることで、視聴者がケーブルテレビ離れを起こすだろうと予測している。

 ダウンロードした番組を自宅のプラズマテレビで観られるように、悪評のアップルTVと接続できるようにするのかどうかは、明らかになっていない。

■映画 キンドルに読みたい本を入れて飛行機に乗るのはなかなか快適だ。同じことが映画でもできるとしたらどうだろう。しかも、スリムなカラー画面の製品で。

 頻繁に飛行機を利用する人にとって、これまで人気だったニッチな製品がポータブルDVDプレーヤー。アップルのタブレットが分厚くて、機械音のうるさいバッテリー食いのDVDプレーヤーを内蔵することはあり得ない。だが、iTunesストアから映画をダウンロードし、保存できるようになることは確かだろう。

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