最新記事

小泉純一郎(1942-)

インタビュー ザ・日本人

昭和天皇、渥美清、宮崎駿から
柳井正、小沢一郎、二宮和也まで

2010.01.21

ニューストピックス

小泉純一郎(1942-)

「日中関係の将来をあまり心配していない」

2010年1月21日(木)12時05分

[2004年12月15日号の掲載記事を2006年2月1日号にて再録]

 第1期目の就任から3年7カ月、本誌クリスチャン・カリルと高山秀子が、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議を控えた小泉純一郎首相への単独インタビューに成功した。当時も小泉の靖国参拝による日中関係の悪化が影を落としていた。05年の総選挙で歴史的な圧勝を遂げたが、公言し続けたとおり、小泉は06年9月の任期を終え退陣する見込みだ。外交問題はポスト小泉にも重くのしかかる。

----日中首脳の相互訪問は、この3年間実現していない。経済交流がこれほど盛んな現在、首相は日中関係をどう位置づけているか。

 中国首脳との会談は、胡錦濤国家主席や温家宝首相とも続けている。相互訪問は01年以来やっていないが、日中関係は日本にとって最も重要な関係の一つだ。

 私が首相に就任した当時は、いわゆる「中国脅威論」や「中国警戒論」が国民の間にあった。そのとき私は、中国のめざましい発展は「脅威」ではなく、むしろチャンスと受け止めるべきだと言った。

 政治でも経済でも文化やスポーツでもいろいろな交流が進んでいて、私は日中関係の将来をあまり心配していない。靖国参拝の問題はほんの一部だ。

----自衛隊の役割をどう考え、憲法のどの部分の改正が最も求められていると思うか。

 基本的人権とか、平和、民主主義とか、変えなくていいところもたくさんある。変えなければならない点は、自衛隊というものを、国民と憲法がはっきりと認知することだと思う。

 自衛隊の存在が憲法違反だという議論はかつてもあったし、今でも起こっている。憲法上は陸、海、空のいかなる戦力も放棄すると言っている。では自衛隊は本当にそういう戦力をもっていないのかというと、中学生でも「戦力がなければ国の防衛もできないのではないか」と理解している。自衛隊は、誰がみても憲法違反ではないと明記したほうがいい。

----06年に首相の座から降りる気持ちに変わりはないか。

 降ります。

----小泉改革の一部はまだ緒に就いたばかりのものもあるが、どのように改革を推し進めるのか。

 構造改革路線は後戻りさせない。民間でできることは民間で、地方でできることは地方でやる。できるかぎり新しい時代に対応できるようにするのが構造改革だ。

----小泉改革は自民党改革だともいわれるが、今の時代における自民党の役割とは何か。

 改革を進めるのが自民党の役割だと思う。私のめざす改革に反対を表明しているが、実際には協力してくれている。与党から反対の声が上がるとメディアは反対一色に解釈するが、与党は最後には良識を発揮して協力してくれる。

----自分のリーダーシップの取り方、政治手法とはどのようなものと考えているか。

 与党からも野党からも面白い批判がある。片方は私が独裁者という批判で、もう一方は「丸投げ」。指導者には両方必要だと思う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英、金融指標の規制見直し 業界負担を軽減

ワールド

韓国、ウォン安への警戒強める 企画財政相「必要なら

ワールド

米、台湾への新たな武器売却承認 ハイマースなど11

ワールド

マクロスコープ:意気込む高市氏を悩ませる「内憂外患
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中