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2009.06.29

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ゴジラ(怪獣)

核の時代が生んだ「人気者」

2009年6月29日(月)15時50分
レオ・ルイス(英タイムズ誌記者)

 放射能火炎を吐く凶暴な大トカゲを「人気者」と呼ぶのも妙だが、1954年に初めて東京を破壊しつくしたゴジラは、今やミッキー・マウスやハローキティと並ぶ世界的キャラクターだ。ただし、シンボルとしての重みはミッキーの比ではない。

 50~60年代に量産されたハリウッドのSF映画には核戦争のメタファーがあふれているが、ゴジラほど痛烈に核時代を皮肉ったものはない。シリーズ第1作は、ビキニ環礁で被曝した第5福竜丸の事件を下敷きにしている。広島、長崎、さらに戦後の水爆実験の被爆国でなければ作れない映画だ。

 イギリスでは先日、この第1作がオリジナル版で初公開され、「啓発的で美と哀愁が漂う」傑作(オブザーバー紙)と絶賛された。

 98年にはハリウッド版も製作されたが、ゴジラは日本製に限る。円谷英二が特撮を担当した第1作には、日本独自の様式美と方法論が息づいている。着ぐるみの円谷版ゴジラは、とても人間くさい。まるで、核を作り出したのも人間だと訴えかけているようだ。

[2005年10月26日号掲載]

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