最新記事

栗原はるみ(料理研究家)

世界が尊敬する
日本人 part2

文化と時代を超えたジャパニーズたち
最新版は7月1日発売号に掲載!

2009.06.29

ニューストピックス

栗原はるみ(料理研究家)

海を渡るキッチンの麗人

2009年6月29日(月)15時36分
ウィリアム・アンダーヒル(ロンドン)

 グルマン世界料理本賞の大賞に『栗原はるみのジャパニーズ・クッキング』(日本語版・扶桑社)が輝いたのは昨年2月のこと。世界で年4000冊以上の料理本が登場することを思えば、これは快挙といえるだろう。

 イギリスでの評判にもプラスに働きそうだ。版元は英デザイン界の巨匠テレンス・コンランが創設した出版社コンラン・オクトパス。9月には、同社から第2弾『はるみのジャパニーズ・ホーム・クッキング』が発売された。栗原は70種以上のレシピに加えて献立のヒントやテーブルの演出法を紹介する。

 とはいえ、和食はまだまだマイナーな存在。『栗原はるみのジャパニーズ・クッキング』は批評家の受けもよく、ロンドンのメディアは「日本のマーサ・スチュワート」をこぞって取り上げたが、売り上げ部数は期待したほど伸びなかった。食材が手に入りにくいのも難点の1つ。和食は面倒でむずかしいというイメージもある。普通のイギリス人はわざわざインゲン豆のスジを取るようなことはしない。

 それでも、日本料理を一般に広めようとする栗原の努力は専門家の間で多くのファンを集めた。「うちの店で出すタイプの料理ではないかもしれないが、味は素晴らしい」と語るのは、ロンドンのおしゃれな和食レストラン「ズマ」の料理人、コリン・クレーグだ。「食材をすべてそろえて作るとなると、ちょっと冒険心が必要になるけど、それも楽しみのうちだよ」

 「ミソやみりん、カツオブシなどの材料をそろえさえすれば、彼女のレシピは簡単だ。(人気の日本食レストラン)ノブ風の料理が出来上がる」と、フードライターのトム・ジェーンは言う。

 新しい料理本は果たして売れるだろうか。食のトレンドが栗原に味方しているのはまちがいない。「寿司ブームを背景にイギリス中に和食レストランが続々とオープンしている」と語る料理ライター、トム・フォートによれば、イギリス人に足りないのは「(和食に対する)深い知識」だとか。知識こそ、栗原の最も得意とするところだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG、オープンAIとの合弁設立が大幅遅延

ワールド

韓鶴子総裁の逮捕状請求、韓国特別検察 前大統領巡る

ワールド

中国国防相、「弱肉強食」による分断回避へ世界的な結

ビジネス

首都圏マンション、8月発売戸数78%増 価格2カ月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中