コラム

まるで男子中学生!NATOにフラれたトランプの精一杯の強気発言【風刺画で読み解くアメリカ】

2026年04月07日(火)15時15分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)

©2026 ROGERS–ANDREWS McMEEL SYNDICATION

<日米首脳会談で真珠湾攻撃に触れて周囲をピリつかせたトランプ。そんな彼が敵対的な態度を取ってきた代表的な相手はNATOだ。中東危機下、「こじらせ」トランプの精一杯の強気発言をアメリカ出身芸人のパックンが解説します>

日米首脳会談でトランプ米大統領が放った真珠湾攻撃の「ジョーク」が話題に。高市総理との合同記者会見で、「なぜイラン攻撃を同盟国に事前通知しなかったのか」と質問されたトランプは、「サプライズにしたかったから。サプライズ(奇襲攻撃)のことは日本が一番よく知っているだろう?」と、歴代米大統領が長年守ってきた規範を破って真珠湾攻撃に触れた。高市は不意打ちを食らい困惑顔だった。

そもそもこの比較は的外れだ。敵国への宣戦布告なき奇襲攻撃の話ではなく、集団防衛の約束を交わしている同盟国への「報告・連絡・相談」の話だ。アメリカでも軍事行動の前にこそspinach(ホウレンソウ)だろう?!


トランプが同盟国にこうした屈辱を与えるのは何も初めてではない。特にNATOには政権1期目から敵対的な姿勢を見せている。NATOをobsolete(廃れている)とし、アメリカの離脱を示唆してきた。アメリカはNATOの共同運営費の大半を負担しているのに、加盟国の多くがGDP2%の防衛費支出基準も満たしておらず、アメリカへの負債が膨らんでいる!と。トランプは、そんな加盟国に対してロシアが侵略も含めて「好き勝手やることをencourage(推奨)する」とまで公言している。

だが失礼なだけではなく、これらの主張は根拠からして間違っている。アメリカが負担した2024年のNATO共同運営費は約16%と、ドイツとほぼ同じだ。さらに加盟国はアメリカに「借金」はしていないし、2%のラインも目標なだけで必須条件ではない。

プロフィール

パックンの風刺画コラム

<パックン(パトリック・ハーラン)>
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

パックン所属事務所公式サイト

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国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

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