コラム

中国が「AI応用強国」になれた理由

2026年03月31日(火)07時30分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)
AI

©2026 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN

<さまざまなリスクにも関わらず、「寝ている間にお金を稼いでくれる」という認識が広がり、中国で最新AIのオープンクローが流行している。プライバシー保護より利便性を優先するからこそ、中国でAIの利用が急速に普及したのだが......>

最近、中国では新しいAIツール「OpenClaw(オープンクロー)」が話題になっている。アイコンがザリガニのハサミのように見えることから、中国の人々はオープンクローを使うことを「ザリガニ飼育」と呼んでいる。

オープンクローは普通のチャット型AIではなく、AIエージェントだ。資料の整理、メールの作成、データ分析、プログラミングまで自動でやってくれる。目標を与えるだけで、AI自身でステップに分解してタスクを完了する。


「寝ている間にお金を稼いでくれる」という認識が広がり、オープンクローが勝手にファイル削除やパスワード窃取、個人データのアップロードなどを行うリスクがあるにもかかわらず、中国人はわれ先に「ザリガニ飼育」を争っている。

面白い現象だ。「プライバシー保護」よりも「利便性」を優先するのは中国ネットユーザーの大きな特徴。だからこそ、QRコードやAIの利用が急速に普及した。

「次世代AI発展計画」という国家戦略の下、「便利第一」を追求する中国社会は、日本で発明されたQRコードと、アメリカが切り開いたAI技術を最大限活用して独自進化を遂げた。注目を集めるディープシークや、中国で一番人気の生活型AIチャット「豆包(ドウパオ)」は、言い換えればQRコード決済で集めた膨大なデータをAIで解析して発展したサービスだ。

プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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