コラム

米大統領選の現実を見よ――その傲慢さゆえ、民主党は敗北した

2024年11月21日(木)16時00分
ハリス

11月3日、ミシガン州立大学で演説するハリス。後方には「自由への投票を」という漠然としたメッセージが掲げられている CARLOS OSORIOーREUTERS

<今や民主党のブランドイメージは「現実に目を向けない高慢なエリートの党」――トランプ勝利を受け入れられない人こそ読むべき、民主党敗北の根本要因とは。>

私のような「政治オタク」な人間にとって、現時点で最も重要な疑問は、ハリス副大統領以外の候補だったなら米大統領選でトランプ次期大統領に勝てたかどうかだ。

選挙とは、候補者が示す選択肢を比較するものだ。大統領選候補者討論会を除けば、今回の選挙戦で最も決定的だった比較の1つは、ハリスが人気ポッドキャスト司会者ジョー・ローガンの番組に出なかったことだ。一方、トランプは3時間も出演した。


ローガンの番組は幅広い層の有権者が聴いている。バイラル性(ソーシャルメディア上の口コミによる伝播力)の高さから、話題にもなりやすい。ハリスが番組出演を見送ったのは、陣営のリベラル派スタッフに批判される事態を懸念したからだ。

ここで政策面からトランプとハリスの支持者像を思い浮かべてほしい。後者のほうが具体的イメージが浮かびづらいはずだ。民主党の陣営は多様だが、分裂していて妥協を許さない。ハリスはリベラル派の反発を懸念して、トランプが取り込みに成功した投票率の低い有権者にアプローチする絶好の機会を逃した。この事実は民主党を支える土台が崩れていることを示すものだ。

アメリカンドリームはもうない。私の両親の世代は90%の確率で前の世代より多くの収入を得た。私の子供たちは何かが劇的に変わらない限り、この確率が50%を下回る公算が大きい。私が生まれた年の住宅購入者の年齢の中央値は38歳。今は54歳だ。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米大統領補佐官、週内にイスラエル訪問 ガザ停戦など

ワールド

シリア、アサド政権崩壊から一夜 暫定政権巡り協議実

ワールド

イスラエル外相、ガザ人質協議に楽観的見通し 間接交

ワールド

アサド氏のロシア亡命、プーチン大統領が決定=クレム
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国 戒厳令の夜
特集:韓国 戒厳令の夜
2024年12月17日号(12/10発売)

世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能の島」の内部を映した映像が話題 「衝撃だった」
  • 2
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 3
    キャサリン妃が率いた「家族のオーラ」が話題に...主役の座を奪ったアンドルー王子への批判も
  • 4
    中国の逆襲...自動車メーカーが「欧州向けハイブリッ…
  • 5
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 6
    白い泡が大量発生...インド「下水汚染された川」に次…
  • 7
    ジンベエザメを仕留めるシャチの「高度で知的」な戦…
  • 8
    アサド氏はロシアに亡命...シリア反体制派が首都掌握…
  • 9
    2027年に「蛍光灯禁止」...パナソニックのLED照明は…
  • 10
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 1
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 2
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 3
    国防に尽くした先に...「54歳で定年、退職後も正規社員にはなりにくい」中年自衛官に待ち受ける厳しい現実
  • 4
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 5
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 6
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 7
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 8
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない…
  • 9
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 10
    肌を若く保つコツはありますか?...和田秀樹医師に聞…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 9
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 10
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story