コラム

ビーチ・ライフがアイデンティティ形成に果たす役割

2016年09月28日(水)16時56分

From Natalie Grono @nataliegrono

<オーストラリア最東端の街バイロンベイで、自らの娘を含む子供たちを撮るナタリー・グローノ。子供にとってビーチは「大自然にゆだねられたプレイグラウンド」であり、彼らと一緒に時を過ごすことは「魔法の世界へ招待されたようなもの」と彼女は言う>

 広大な大陸国家でありながら、その人口の圧倒的大多数が海岸線周辺に住むオーストラリアでは、ビーチ・ライフ、あるいはオーシャン・ライフは、ある種の宗教にも近い意味合いを持つ。人格形成にさえ大きな役割を果たしている。

 今回紹介するのは、そうしたオーストラリアのビーチ・ライフ・コミュニティを大陸最東端の街バイロンベイで、6歳と4歳になる自らの娘2人、あるいは他の子供たちを通してドキュメントしているナタリー・グローノだ。大学ではジャーナリズムを学び、その後、写真が本質的に持つ物語性の特質を知って、たちまち写真に恋をしてしまったという39歳の母親である。

 グローナはこう語る。子供にとってビーチは、大自然にゆだねられたプレイグラウンドだ。嵐が頭上を過ぎ去ったかと思えば、鳥が舞い、波が打ち砕かれ、人魚さえ現れる気がする。独創的な遊び場であるだけでなく、それを通して大自然の美しさと脅威を学びながら、自然との関係性を築きあげていく。かつて私もそうした世界を頻繁に訪れていたが、長女の誕生とともにもう一度この世界に戻りはじめた。ほぼ毎日、子どもたちと一緒に行事のようにビーチを訪れ、時代と共に変わりゆく様を、あるいは文字どおり一瞬に変貌する自然の驚嘆の様を感じ取りたい、と。

【参考記事】世界報道写真入賞作「ささやくクジラたち」を撮った人類学者

Little tree climbers #bw #childhood #family #camping #australianlife #everydayaustralia #byron #australia #outdoors

Natalie Gronoさん(@nataliegrono)が投稿した写真 -

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン主要濃縮施設の遠心分離機、「深刻な損傷」の公

ワールド

欧州委、米の10%関税受け入れ報道を一蹴 現段階で

ワールド

G7、移民密輸対策で制裁検討 犯罪者標的=草案文書

ワールド

トランプ氏「ロシアのG7除外は誤り」、中国参加にも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 7
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story