コラム

芸人も真っ青? 冗談だらけのトランプ劇場

2016年08月19日(金)16時00分

 さらに困ったことに、普段からトランプが主張する政策も冗談っぽい。3200キロメートルもあるアメリカとメキシコとの間に万里の長城を建てる? 経済の基盤となっている1100万人もの不法移民を全員強制送還する? 世界に16億人もいるイスラム教徒の入国を禁じる?

 どの政策をとってもばかばかしくて、聞いた瞬間吹き出しそうになるぐらい面白い。だが、トランプはどれも本気っぽい。コメディーと公約の見分けがつかない人は冗談に挑戦しないほうがいい。 

 非常識、デフォルメ、矛盾、これらは芸人にとっての大事な武器だが、どれもトランプの特徴でもある...あっ、ちょっと待って!

 考え方を変えよう。

 もしかしたら、全部冗談なのかもしれない。もしかしたら、ドナルド・トランプの立候補自体が冗談かもしれない。だって、「貧富の差を是正する」と訴える億万長者だ。「雇用増加」を約束する、「お前はクビだ!」でおなじみのリアリティTVスターだ。「移民反対」を唱える、2回も移民と結婚している、しかも移民の息子だ。すべてに「お前が言うな」と、天からの突っ込みが入れば、政策発表が漫才として完璧に成立する。

 よし。気が楽になった。トランプ自身が冗談だと思おう。冗談だから選挙日までたっぷりと笑わせてもらおう。そして冗談だから、最後にオチることを楽しみに待とう。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

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