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良くないと分かっているが......という人に「ハームリダクション的」な商品を

2019年02月26日(火)11時00分
高野智宏

「私を含め、多くの女性がスイーツを食べることに罪悪感を抱いています。でも、それって身体的、精神的にも健康じゃない。ならば、罪悪感を抱かないスイーツを作れないかといろいろ調べていた過程でブリスボールと出合い、すぐに本場のオーストラリアへと飛んだのです」

ブリスボールとは、ドライフルーツとナッツから作られ、砂糖、グルテン、添加物を一切含まないスイーツ。ヨガ愛好家などの補食として広まり、現地では健康食品的な存在であった。「でも、日本人にはサイズが大きいし、なによりパサついた食感が想像とは違っていた。私が食べたかった、よりスイーツっぽいブリスボールを作ろうと、帰国後にゼロから開発を始めました」

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オーストラリア発祥のギルトフリー・スイーツ「ブリスボール」 Photo:フードジュエリー

数カ月間の開発期間を経て完成させた坪井さんのブリスボールは、1個12グラムと日本人女性に合ったひと口サイズ。砂糖、グルテン、添加物に加え、はちみつなどの甘味料も使わず、100%自然の素材のみで作られながらも、しっかりした甘みとしっとりした食感を持つ。カロリーはわずか50キロカロリー以内だ。

坪井さんがフードジュエリーを立ち上げ、ブリスボールのオンライン販売を始めたのが2016年のこと(現在は渋谷ヒカリエでの店舗販売も)。この頃から、日本の食品業界でもギルトフリーという言葉が多く用いられるようになった。

「なかでも驚いたのが、日清食品さんの『カップヌードルナイス』です。こってり濃厚なのに、脂質や糖質を大幅にカットし、低カロリーという商品で、そのキャッチフレーズが『罪悪感ないス!』。これ、まさにギルトフリーだって(笑)」と、坪井さんは言う。

ブームは眼鏡、ゲーム、自動車、たばこにも?

食品業界におけるギルトフリーブームのみならず、「ハームリダクション的」な商品は他の業界でも続々と登場し始めている。

例えば、パソコンやスマートフォンの長時間使用は目への負担が大きいが、使わないわけにはいかない。となれば、そうした電子機器から発せられるブルーライトをカットする眼鏡を使用したほうが目の負担を軽減できる。

子供に人気のゲーム機「Nintendo Switch」では、親が1日のゲーム時間の上限を設定し、自動でゲームを止めることができる。子供のゲーム依存が心配でも、必ずしもゲーム機を取り上げる強硬手段を取る必要はないわけだ。

他にも、近年車に搭載されている自動ブレーキシステムや自動走行システムなども、事故の可能性を心配する人に「車に乗らない」以外の選択肢を提供するという意味で、広義のハームリダクション的な装備といえるだろう。

また、たばこの世界でもハームリダクション的な商品が登場し、人気を博している。Ploom(プルーム)、IQOS(アイコス)、glo(グロー)という、3つの加熱式たばこだ。

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