コラム

草間彌生の水玉と「私」の呪縛からの解放──永遠の闘い、愛、生きること(2)

2022年07月11日(月)15時50分

「命というのも、いずれは水玉によって輪廻転生し(注7)」、「私」は大いなる自然のなかで増殖し続けることで消滅、いつしか「私」の呪縛から解き放たれるのである。

かつて、あるインタビューで92歳頃まで頑張ると語っていた草間 が93歳を迎えた2022年春、人類が再び分断や戦争の恐怖、疫病と戦うという歴史が逆行するかのような状況に直面しているなか、草間は何を思うのだろうか。

満開のツツジの花の下、《ナルシスの庭》の球の中に身を置いてみるとき、混沌とする世界で、全身全霊をかけて、救済と生命の尊さを祈り、芸術の力で世界中に平和と人間愛の美しさを届けることに挑み続ける孤高の芸術家の姿が、思い出されてならないのだ。

注7. 「草間彌生インタビュー」(聞き手:齋藤環)『美術手帖』2004年3月号 P35


※この記事は「ベネッセアートサイト直島」からの転載です。

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プロフィール

三木あき子

キュレーター、ベネッセアートサイト直島インターナショナルアーティスティックディレクター。パリのパレ・ド・トーキョーのチーフ/シニア・キュレーターやヨコハマトリエンナーレのコ・ディレクターなどを歴任。90年代より、ロンドンのバービカンアートギャラリー、台北市立美術館、ソウル国立現代美術館、森美術館、横浜美術館、京都市京セラ美術館など国内外の主要美術館で、荒木経惟や村上隆、杉本博司ら日本を代表するアーティストの大規模な個展など多くの企画を手掛ける。

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