コラム

安倍元首相銃撃事件で次の段階に進んだ「自爆テロ型犯罪」

2022年07月12日(火)13時40分

最後に、長期的な対策である。

今でも、組織の中でデジタル化を主張する声がないわけではない。しかし実際、既得権益を守りたい保守層による同調圧力が強いため、デジタル化の声が黙殺されてしまっている。デジタル化は、既得権益を脅かすかもしれないからだ。

そこで、同調圧力の弱体化が必要になるが。そのルーツは4万年前にまで遡るので、そう簡単にはいかない。

同調圧力のルーツについては次の記事を参照されたい。

「犯罪率は低くても、閉鎖性と同調圧力が引き起こす悪事は絶えない日本」

しかし、長期的な視座に立って、「多様性」が日本社会で認められ、個性を前提にした「協調性」と、個性を封殺する「同調性」が混同されないことを目指すべきだろう。それが、社会安全と経済成長を両立させる唯一の道だからだ。

こうした視座から、安倍元首相銃撃事件についても、事件のトリガーを近視眼的に見る「虫の目」だけでなく、事件の意味を俯瞰的にとらえる「鳥の目」と歴史的にとらえる「魚の目」を合わせ持つことが大切であろう。

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プロフィール

小宮信夫

立正大学教授(犯罪学)/社会学博士。日本人として初めてケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。国連アジア極東犯罪防止研修所、法務省法務総合研究所などを経て現職。「地域安全マップ」の考案者。警察庁の安全・安心まちづくり調査研究会座長、東京都の非行防止・被害防止教育委員会座長などを歴任。代表的著作は、『写真でわかる世界の防犯 ——遺跡・デザイン・まちづくり』(小学館、全国学校図書館協議会選定図書)。NHK「クローズアップ現代」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビへの出演、新聞の取材(これまでの記事は1700件以上)、全国各地での講演も多数。公式ホームページはこちら。YouTube チャンネルはこちら

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