コラム

16年続く長期政権が「民主主義」に敗北し崩壊...ハンガリーが示す「ポピュリズムの限界」とは

2026年04月14日(火)16時45分

「一度だけ、適切に勝てばよい」

マジャル氏は、オルバン氏がかつて権力を固めるため乱用したスーパーマジョリティーを民主主義修復のために利用できる立場にある。エコノミスト誌は2023年に政権交代したポーランドをモデルケースに前政権の抵抗を抑えるため迅速かつ断固とした行動をマジャル氏に求めた。

左派の英紙ガーディアン社説(13日付)もマジャル氏率いる野党ティアの勝利を国民による「民主主義の奪還」と評価する。オルバン氏自身の言葉「一度だけ、適切に勝てばよい」を引用し、今回マジャル氏が「適切に勝利」したと指摘する。


「キリスト教ポピュリズム・ナショナリズム」の旗手

英紙フィナンシャル・タイムズ社説(12日付)はマジャル氏の勝利が国際政治のパワーバランスに与える衝撃を分析する。オルバン氏はプーチンやトランプ氏が主導する「キリスト教ポピュリズム・ナショナリズム」の旗手であった。

オルバン氏の敗北は非自由主義的な政治手法が民主的なプロセスによって打破可能であることを証明し、EUの結束とウクライナの未来に希望を与えるものだという。オルバン政権の終焉は経済的停滞とインフレが国民の支持を剥ぎ取る「ポピュリズムの限界」を浮き彫りにした。

ハンガリー国民は自らの手で民主主義を取り戻す新たな一歩を踏み出した。ポピュリズムや権威主義が蔓延する時代において民主主義への希望のメッセージとなるが、この状況を招いた民主主義と市場主義が格差を修復し、最大多数の生きる権利を保障する道筋はまだ示されていない。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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