コラム

為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けるとはっきり分かる、円安の行方

2025年10月23日(木)19時03分

拡張的な財政を続けることで何が起きるか?

アベノミクスに伴う日銀の大規模緩和策は、日銀が大量に国債を買い入れて市場にマネーを供給。意図的に通貨安と物価高を引き起こす政策である。

日銀は金利の引き上げに転じたものの、全体としてはまだ国債の買い入れを続けている状況であり、市場は大量のマネーであふれ返っている。日本の物価は諸外国と比較すると動きにくい性質を持っているが、大量のマネー供給を続ければ、当然のことながら円安が進むと同時にインフレ(物価上昇)も激しくなってくる。

拡張的な財政によって国債発行の総量が増えれば、その動きに拍車がかかる。


多くの専門家が経済の規模に比してマネーの量が多すぎると判断している以上、日本でも今後、物価上昇が激しくなるとの予想が一般的である。

基本的に為替というのは購買力平価に基づいて動くものであり、物価の上昇が激しい国の通貨は売られるのが大原則と考えてよい。あらゆる通貨に対して日本円が売られているということは、市場参加者の多くが、今後も日本では物価上昇が続くと考えていることの証左にほかならない。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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