コラム

経済の「長期的な未来像」、投資家はどう見ているか...「金利」が示す世界経済のニューノーマル

2025年08月20日(水)18時37分

日本国債も30年債だと3%を超える利回り

国債に投資する投資家は、まずは目先の利回りで判断するものだが、一方で国債には10年以上の満期を持つ長期の商品も少なくない。長期的視野に立つ一部の投資家は、現在の景気動向のみならず、10年先、あるいは20年先の金融市場を考えて投資を決断する。

実は日本国債も30年債になると、既に3%を超える利回りとなっている。30年債の金利がここまで上がっているのは、日本の長期的な財政悪化懸念に加え、全世界的なインフレが長期にわたって継続するという見立てが存在しているからにほかならない。


長期的インフレ見通しの根拠となっているのは、世界人口の増加に対して食料やエネルギーなどの供給が追い付いていないという供給サイドの要因に加え、トランプ政権が打ち出した関税政策が有形無形に影響を与えている可能性が高い。

トランプ政権は、日本との交渉を皮切りに、EUや韓国など、主要各国に対して相互関税を課すことを宣言した。政治的な思惑で変動する可能性もあるが、今回、各国と妥結した15%程度というのが、アメリカの標準的な関税率となる可能性が高まっている。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ攻撃、数十人死亡と地元保健当局 停

ビジネス

政府機関閉鎖が最大の関心事、議会動向に注目=今週の

ワールド

アングル:トランプ政策で留学生減、財政難の米大学に

ワールド

アングル:米国抜きの貿易連携模索するEU、「トラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿すると「腎臓の検査を」のコメントが、一体なぜ?
  • 4
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 5
    イエスとはいったい何者だったのか?...人類史を二分…
  • 6
    墓場に現れる「青い火の玉」正体が遂に判明...「鬼火…
  • 7
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 8
    「美しい」けど「気まずい」...ウィリアム皇太子夫妻…
  • 9
    謎のドローン編隊がドイツの重要施設を偵察か──NATO…
  • 10
    一体なぜ? 大谷翔平は台湾ファンに「高校生」と呼ば…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 7
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 8
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story