コラム

資本主義はついにここまで来た。「自分」を売り出すVALUが市場概念を覆す

2017年07月04日(火)11時38分

https://valu.is/より

<「自分」という株式を上場させる革新的なサービスがついにローンチした。テクノロジーの進歩が切り開く、新たな資本主義の進む道とは>

まだ一般には知られていないが、先端的なネット・ビジネスの業界では「VALU」というサイトが大きな話題となっている。仮想通貨ビットコインを使い、企業ではなく個人が株式(厳密には株式ではないが、詳細は後ほど説明する)を上場するという、まったく新しい概念に基づいた一種の取引所である。

登場したばかりで、この先、どう展開するのかはまったく分からないが、経済や金融の仕組みを知る人にとっては「ついに来るべきものが来た」という印象である。こうしたサービスが本格的に普及することになれば、資本主義のメカニズムそのものについても、発想の転換が必要となるかもしれない。

【参考記事】ビットコインだけじゃない、ブロックチェーン技術を使った注目のスタートアップ

個人を上場させて、市場で流通させる

VALUはグリー出身の起業家らが設立したベンチャー企業によって運営されている。ホリエモンこと堀江貴文氏も出資しているそうで、今年の5月31日にサービスを開始したばかりである。このサイトをひとことで説明すると、個人が自身の擬似的な株式を売り出して資金調達したり、その疑似株式を売買できる取引所のサービスということになるだろう。

自身の株式を売り出したい人は、サイトに登録してフェイスブックやツイッター、インスタグラムなどと連携させる。VALUのサイトでは、フォロワー数などから自動的にその人の時価総額が算定されるので、その価値に応じた模擬株式を売り出すことができる。

売買はビットコインで行われるが、例えば、自身の価値が0.1BTC(ビットコイン)と算定された人が10株を発行すると、1株の値段は0.01BTCになる。このうち1株を売り出して、それが当初価格の2倍である0.02BTCで売れた場合には、本人には0.02BTCが入ってくる。残り9株は保有したままだが、株価は0.01BTCから0.02BTCに値上がりしているので、9株×0.02BTCとなり、潜在的な資産は0.18BTCに上昇したことになる。
 
つまり自身の株を売り出して、それを高く買ってくれる人がいて株価が上昇すると、自身が持っている資産もそれに応じて増大する。これは会社を上場させた起業家が株価の上昇とともに資産が増えていく仕組みと同じである。

VALUにはホリエモンやブロガーのイケダハヤト氏、はあちゅう氏など、ホリエモンを除くと、いわゆるネット上の有名人が自身の株式を上場させているのだが、ホリエモンには約14億円、イケダハヤト氏には約20億円という時価総額が付いている。イケダ氏は自身の持ち株を少しだけ売却し、わずか3日間で1000万円を手に入れたとブログで明かしている。

【参考記事】ビットコインを入手する5つの方法まとめ

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、イラン情勢「仲介」の用意 イスラエル首

ワールド

米CIA長官がベネズエラ訪問、ロドリゲス暫定大統領

ワールド

米超党派議員団、デンマーク・グリーンランド首脳と会

ワールド

米NEC委員長、パウエルFRB議長に「特に問題ない
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑について野次られ「中指を立てる」!
  • 3
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 4
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 5
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 6
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 7
    イランの大規模デモ弾圧を可能にした中国の監視技術─…
  • 8
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 9
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 10
    「ひどすぎる...」滑走路にペットを「放置」か、乗客…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story