2016年の世界経済のカギを握るのはやはり原油価格
だが、原油価格が下がってもっとも困るのは、最大の産油国の1つでありながら、採掘コストが高いロシアであることは明白である。実際ロシアやベネズエラなど、国家収入の多くを石油に頼る反米的な国が、今回の原油価格低迷によって大打撃を受けている。一般的に思われているほど、原油価格低迷によって米国経済が影響を受けているわけではない。サウジアラビアと米国が原油価格をめぐって対立関係にあるというのは、少々、短絡的な見方といえるだろう。
では、原油価格の低迷は、世界経済に対してどの程度の影響を与えるのだろうか。米国、欧州、日本といった先進国は、合計すると1日あたり3600万バレルの原油を消費しており、これは全世界の産出量の4割に達する。
原油価格は2014年以降、1バレル=100ドルから40ドルへと下落しているが、これは産油国に支払われる原油の販売代金が半額以下になったことを意味している。金額にすると年間約95兆円に達するのだが、原油価格の下落は、毎年100兆円近くの富が産油国から先進国に移っていると言い換えることが可能だ。
先進国は安価にエネルギーを手にすることができるので、当然、経済の活性化につながる。特に石油の消費量が多い米国では、原油価格が1ドル下がると個人消費が1%増加するとまで言われる。実際の影響はもっと小さいかもしれないが、原油価格の下落分がそのまま他の消費に回ると仮定すると、数字上はGDP(国内総生産)を1.5%押し上げる効果を持つ。
先進国にとって原油安は長期的なメリットが大きいということになるが、裏を返せば、資源国にとってはマイナスということになる。石油の販売代金減少が経済を低迷させることになるし、短期的には投機資金の引き上げによって市場が混乱する。実際ロシアでは、大量の資金が国外に流出して通貨ルーブルが暴落、10%を越えるインフレが発生して国内経済は大混乱となっている。
現在の原油価格40ドルはおそらく「底」
整理すると、原油価格の低迷は、短期的には金融市場に混乱をもたらすものの、長期的には先進国経済を活性化させることになる。一方、資源国の経済は短期的な市場の混乱が終わっても、しばらくは低迷が続く可能性が高くなる。教科書的に考えれば、短期的な市場の混乱はそろそろ収束しつつあり、先進国経済の活性化という長期的なメリットが顕在化してくるタイミングということになるだろう。
このまま先進国経済が原油安のメリットをうまく享受する形になれば、2016年の世界経済は比較的安定的に推移することになる。ただ少々気になるのが、米国が持つ石油に関する二面性である。米国は世界最大の石油消費国だが、冒頭に述べたように世界最大の産油国でもある。
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