コラム

プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

2024年05月14日(火)17時30分

経済の過熱は、インフレを激化させる。そうなれば、エリツィンからプーチンへの権力禅譲を招いた1998年8月のデフォルト宣言当時に情勢は酷似する。歴史は一回りして、何もなかった時に戻るのだ。

プーチンの後継は、公安機関に支えられて体制内から出てくるだろう。しかし長期政権が代わると、公安関係者たちも利権の奪い合いを始めかねない。権力は数年にわたり安定を欠くだろう。


 

ロシアには、今の世界での居場所がない。西側はロシアを敵視するし、途上国も経済力を欠くロシアに頼り切れない。石油で経済を回し、公安機関で社会を抑え付け、それをロシア正教や古い共同体的価値観で正当化する今のやり方では、ロシアの若い世代も夢と誇りを持てない。

もっとも、これから世界は気候変動で冷暖房需要が増大し、原油・天然ガス・石炭がもっと発電に消費され、ロシアを救うかもしれない。ロシアは半分沈んでも、いつまでも海上を漂う大船のようなものだ。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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