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アングル:空爆は支持、地上部隊派遣は反対 トランプ氏支持層もイラン攻撃に温度差

2026年03月09日(月)15時30分

プエルトリコのサンファンでロイターのインタビューに答える大学生の ウィスコンシン州マディソンの大学生ウィル・ブラウンさん。2025年5月撮影。REUTERS/Ricardo Arduengo

Julia Harte

[8日 ロイ‌ター] - 米国によるイランへの攻撃開始から1週間が経過した。トランプ米大統領は作戦実施‌の理由を度々変更し、攻撃が数週間続く可能性を示唆し、米国人の死傷者がさらに増える恐れがあると警告する一方で、エネルギ​ー価格高騰への懸念を打ち消そうとしている。

多くの米国人は対イラン作戦を巡るトランプ氏の一連の発言に不安を抱いている。他方、ロイターが最近インタビューしたトランプ支持者の有権者は、少なくとも現時点では大統領とその戦⁠争方針をおおむね支持していることが分かった。ただし、最も熱心​な支持者でさえ、大規模な地上部隊のイラン派遣には強い警戒感を示した。

ロイターは米国とイスラエルによるイラン攻撃開始から数日後、2024年の大統領選でトランプ氏に投票した有権者8人にインタビューし、急速にエスカレートする紛争への意見を聞いた。ロイターは2025年2月以降、20人のグループに毎月インタビューを実施している。

8人全員が、大規模な米地上部隊のイラン派遣や、新政権樹立を目的とした長期的な関与に反対した。一方、5人は、イランが長距離ミサイルや核搭載ミサイルを蓄積するのを阻止する唯一の手段として、空・海からの攻撃を全面支持すると述べた。残る3人は、開戦の理由が不明確だとして、米国経済への打撃や米国市民へ⁠の危険を懸念した。

こうした反応は、先週末にロイターとイプソスが成人1282人を対象に実施した世論調査の結果とほぼ一致する。2024年にトランプ氏に投票した回答者の約3分の2が攻撃を支持し、9%が不支持、27%が「分からない」と回答した。全体では、攻撃を支持したのは回答者の4人に1人にとどまった。

エネルギー価格が高止まりし、トランプ氏のイラン戦略が支持基盤から⁠も不人気となれば、​今年11月の中間選挙を前に、共和党への支持を損ないかねない。

インタビューに応じた有権者8人のほとんどは、地元のガソリン価格が1ガロン当たり0.20─0.50ドル上昇したと報告した。ただ、空爆を支持する有権者は、価格高騰は長続きしないと見込んでいると述べた。

インディアナ州のウォルマート従業員、ジョン・ウェバーさん(45)は、1979年のイラン革命後の原油価格乱高下で両親が苦労した経験を引き合いに出した。「確かにしばらくは辛いだろうが、すぐに元に戻る」と述べた。

ウェバーさんは、歴代の米大統領がイランの脅威を訴え続けるのを長年見てきたとした上で、トランプ氏がイランの政権に打撃を与えたことに満足感を示した。「ずっと前にそうすべきだった。そうすれば、これほど長い間、問題を抱え続けることもなかった」

テキサス州ヒューストン近郊のロレッタ・トーレスさん(38)は、大統領の判断は賢明だったと評価した。「トランプ氏は事態を先読みし、脅威に対して先⁠手を打とうとしていた」と語った。

3人の子を持つトーレスさんも、戦争が「制御不能」に陥ったり、自身が住む大都市圏へのテロ攻撃を誘発したりす‌る可能性を懸念していると述べた。他の有権者と同様、トランプ氏が地上軍を派遣した場合、米国がこの地域に何年も縛られる可能性を危惧しているという。

<攻撃の正当性>

攻撃を支持した有権者は、差⁠し迫った米国への⁠脅威を阻止するためにトランプ氏が攻撃を承認したと確信していた。民主党員や著名な保守派コメンテーターでさえ、政権による説明が変遷していることを理由に、この見方に懐疑的な姿勢を示している。

オハイオ州北西部の原子力発電所で監督を務めるチャド・ヒルさん(50)は、攻撃の数日前まで米イラン交渉が続いていたにもかかわらず、何らかの形で軍事行動が起きると予想していたと述べた。「残念ながら、これが唯一の方法だったようだ。結局、彼らは私たちを信頼せず、私たちも彼らを信頼していない」

ヒルさんは、イランのミサイル能力を完全に破壊するために限定的な部隊の派遣が必要になる可能性は認めつつ、それ以上の大規模な地上部隊展開は「赤信号だ」‌と述べた。「国家建設など無理だ。単純に実現不可能だ」

ニューヨーク州ハドソンバレーの武道講師、ジェラルド・ダンさん(67)も地上軍派遣の考えに不安を示した。「イ​ランの新政権から‌要請があった場合に限り」派遣を認めるべきで、「規模は⁠限定的であるべきだ」と述べた。

ヒルさんと同様、ダンさんは「問題を先送りしていた」歴代​政権に対し、トランプ氏が行動に踏み切ったことを評価した。

ジョージア州サバンナ近郊の保険会社従業員、アマンダ・テイラーさん(52)は「詳細不明なことが多い」としながらも、米国をより安全にするいかなる軍事行動も支持すると述べた。「米国の情報機関はこうした問題では通常、正確だ。トランプ氏は自分の直感だけでなく、確かな根拠に基づいて行動したと信じたい」と語り、「誰も長期にわたる本格的な戦争は望んでいない。そうした事態は何としても避けたい」と付け加えた。

<開戦理由をめぐる混乱>

トランプ政権が攻撃理由を二転三転させたことに、一部の有権者は困惑している。

テキサス州ダラスのトラック会社で夜間運行管理者を務めるハーマン・シムズさん(66)は、ルビオ国務長官がイスラエルのイラン攻撃計‌画を事前に把握し、報復を防ぐため先制攻撃に踏み切ったと説明するのを2日に聞いた。しかし翌3日には、トランプ氏がイランによる攻撃を予感したとして、自ら主導したと主張するのを耳にした。

シムズさんは相反する説明は「全く意味をなさない」と述べながらも、攻撃が米国人の生命を守るために本当に必要だったのであれば支持すると語​った。一方で、ガソリン価格の高騰と、上院公聴会で「イスラエルのために戦うべきではない」と抗議した⁠元海兵隊員が腕を骨折したとの報道にも懸念を示した。「われわれは他者のために戦争を戦うべきではない」と話す。

ウィスコンシン州マディソンの大学生ウィル・ブラウンさん(20)は、政権による開戦理由の「優柔不断な」説明に不満を示した。「現状程度の爆撃そのものは構わないが、トランプ氏は地上部隊の投入と兵士の死を口にしている。それは到底容認できない」と述べた。トランプ氏は2日、ニューヨーク・ポスト紙のイン​タビューで、地上軍派遣の可能性を排除しないと語っている。

ブラウンさんは、イランの指導者が死亡し核能力が削減されたことは評価しながらも、地上侵攻がもたらす「破壊と死の規模は想像を絶する」と述べた。

バージニアビーチ在住の退職者ドン・ジャーニガンさん(75)は、トランプ氏が米軍を危険にさらすことに正当な理由付けをしていないと批判した。「イランの脅威が本当にわれわれの都市に差し迫っているというのなら、遠距離から対処すべきだ」と話し、米軍の攻撃によってテロの脅威が高まったとの見方を示した。「もし彼らの家族をあそこで殺せば、彼らはここに来て、われわれの家族を殺そうとするだろう」と述べた。

ロイター
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