焦点:トランプ氏2期目の経済政策、現時点で結果まちまち 関税は成果出せず
写真はトランプ大統領。2月19日、米メリーランド州のアンドリュース統合基地で撮影。 REUTERS/Kevin Lamarque
Ann Saphir
[24日 ロイター] - トランプ米大統領の2期目が始まって1年余りが経ち、同氏が打ち出した一連の大幅な経済政策の変更は、約束を果たしたものもあれば期待外れに終わったものもある。結果として米国の家計や企業は、力強い経済成長やテック分野の投資ブームなど明るい動きを享受する一方で、雇用増の鈍化やインフレの高止まりといった課題も抱え、良し悪しが混在する状況になっている。
さらに、トランプ氏の経済政策の柱であった相互関税を無効とした先週の連邦最高裁判所の判決も重なり、トランプ氏の政権復帰以来続いてきた米経済の先行き不透明感は一層深まったように見える。
トランプ氏の2期目が2年目に入るにあたり、米経済の主要な指標がどのような状況にあるのかを見てみよう。
◎GDP成長率は予想を上回る
米経済は昨年初め、企業が差し迫った関税を回避しようと輸入を前倒ししたために縮小した。また年末には、過去最長となった政府機関閉鎖によって政府支出が一時的に減少したことが主な要因となって成長が減速して終えた。しかし年初と年末に挟まれた期間は想定を上回るペースで力強く成長した。今年は、トランプ氏の「一つの大きく美しい法(OBBB)」に盛り込まれた減税が追い風となり、他の条件が同じであれば、さらに成長が押し上げられると見込まれている。人工知能(AI)投資が一部で成長を牽引しているが、堅調な個人消費も重要な要因となっている。
◎関税収入と貿易赤字
関税は当初からトランプ氏の経済政策の中核を成してきた。実際、同氏の大統領就任前から企業は関税発動に先んじようと輸入を加速させ、その結果、米国の貿易赤字は、トランプ氏の狙い通りに縮小するどころか、一時的に拡大した。アナリストは時間の経過とともに関税によって輸入と輸出の差は縮小する可能性があるとみているが、これまでのところ、そのような結果にはなっていない。
最高裁はトランプ氏の包括的な関税を無効としたが、トランプ政権は既に、撤廃された関税を部分的に置き換えるため新たに10%の関税を発動し、これを15%に引き上げるとしており、輸入関税収入が減少しないよう、さまざまな権限を行使する方針を示している。
◎製造業、生産は増加し雇用は減少
トランプ氏の輸入関税や高い借入コストによる圧迫にもかかわらず、継続的なAI投資ブームに支えられて製造業は持ち直している。アナリストによると、今年はトランプ減税が実施されることで、こうした回復が継続し、さらに広がる可能性がある。
しかし鉱工業部門は最近の増加が雇用の復活を伴ってはいない。
実際のところ、トランプ氏の2期目に工場の雇用はむしろ減っており、製造業拡大のために貿易政策を修正したトランプ氏の狙いは、思うようにいっていない。
◎雇用市場は広範に停滞
失業率はやや上昇したものの、1月時点で4.3%と依然として低水準にとどまっている。しかし月間の雇用増加は昨年大幅に減速し、年間を通じた雇用増加は18万人にとどまった。これは2024年の月平均雇用増加数16万8000人をわずかに上回る程度にすぎない。アナリストはこの減速を、雇用の供給と需要の両方を縮小させたトランプ氏の移民取り締まり強化と関連付けている。1月には米国の雇用主が雇用を13万人分増やしたが、この堅調な流れが続くかどうかは不透明だ。
◎インフレと生活の手頃さに依然として懸念
インフレはバイデン前政権下のパンデミック後の急騰からは落ち着いているが、連邦準備理事会(FRB)が注視する指標でみた前年比の物価上昇率は昨年末にかけて上昇傾向を示しており、アナリストは、少なくとも昨年に実施された関税の影響が一巡するまで、今後数カ月はこの流れが続くと予想している。
トランプ氏はパウエルFRB議長の後任に元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏を指名した。金融市場では、ウォーシュ氏が議長に就任する5月頃までにインフレが落ち着き、ウォーシュ氏は新議長として6月から数回の利下げを実施するとの見方が織り込まれている。労働市場のさらなる弱含みも利下げの要因となるかもしれない。
全体として、アフォーダビリティー(価格の手ごろさ)に対する懸念は依然として家計の中心的な不安材料となっている。昨年末、トランプ氏はいくつかの対策を打ち出したが、住宅ローン金利は依然高止まりしており、国内の大半の地域では住宅供給が需要を満たせずにいる。そのため、世帯収入が中央値を大きく上回らない家族にとって、持ち家はますます手の届きにくいものとなっている。





