焦点:人民元リスクは上振れ方向、当局が抑制で対応か
写真は元紙幣。2011年1月、上海で撮影。REUTERS/Carlos Barria
[上海 4日 ロイター] - 中国は輸出の好調を背景に貿易黒字が拡大し、人民元の上昇圧力が強まっている。アナリストによると、今年のリスクも上振れ方向になりそうだが、当局が一段の元高抑制に動く見通しだ。
2025年に人民元が1ドル=7元の節目に近づき、そこを突破した12月には中国の銀行への外貨流入額が4520億ドルと過去最高を記録した。
国家外為管理局(SAFE)のデータによると、外貨の人民元への転換額も過去最高の3110億ドルに達しており、そうした元買いを受けて2月3日のレートは1ドル=6.9378元と23年以来の高値を付けた。
銀行アナリストの見立てでは、中国当局にとって元高はもう十分な域に到達しているので、今後は国有銀行による元売りや、取引の許容幅(基準値からの変動幅)を通じた調整、銀行の法定外貨準備高変更など元がさらに上昇するのを防ぐ措置が講じられる可能性が出てきた。
26年末の人民元相場に関する世界的な投資銀13行の予想平均は1ドル=6.92元、デリバティブ市場の織り込みは約6.8元だ。
しかし少数意見として、輸出増に伴う外貨の人民元転換の動きが強まれば、元高が一層進むとの見通しも聞かれる。ゴールドマン・サックスのアナリストチームは今週、人民元が年末に1ドル=6.7元となり、3日の取引水準から約3.5%上昇するとの予想を示した。
同チームは「人民元の上昇ペースは想定を超えている」とし、見通しの背景として、記録的な資金流入に加え、人民銀行(中央銀行)の姿勢が変化したとの判断を挙げた。
人民銀行は、毎取引日に発表する基準値から上下2%の変動幅に人民元を収めるよう管理している。ロイターが人民銀行に取材したところ、人民元に関するスタンスやアナリスト予想に対するコメントは拒否した。
1月には人民銀行の副総裁が、元は柔軟性を維持しながら上下双方向に振れるだろうと発言している。
<基準値が示すシグナル>
アナリストの間でも、人民元高は中国の輸出競争力を低下させかねない以上、一方的な値上がりが起きる公算は乏しいとの声が聞かれる。当局が上昇抑制に乗り出す証左と見なされるのは、国有銀行による元売りや、人民銀行が基準値設定で発するシグナルだ。
ガベカル・ドラゴノミクスのエコノミスト、ウェイ・ヘー氏は「中国の経済成長は引き続き輸出への依存度が高い以上、人民銀行はさらに大きく元高が進むリスクを積極的に許容しないのではないか」と述べた。
25年11月以降、人民銀行が設定する元の基準値は市場予想よりも低い水準で推移。トレーダーによると、元が急速に上昇し始める局面では常に国有銀行がドルの買い手になってきた。
銀行にドルの購入や保有拡大を強制するために、当局が外貨保有の要件を修正するとの見方も出ている。
<輸出に不確実性>
中国の25年の成長率5%は輸出急増が寄与した面が大きく、貿易黒字は1兆2000億ドルと前年比約20%拡大して過去最高となった。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、チャオピン・ズー氏は「当社の基本シナリオでは依然として輸出が堅調に推移し、人民元を支える公算が大きい」と話す。
ただ同氏によると、各国政府が自国経済への影響に対する警戒感を強めるとともに、中国の輸出の伸びには不確実性が増大する。
そのため人民元相場は上下双方向でボラティリティーが高まるかもしれず、1ドル=7元前後のレンジで変動しそうだという。
<管理可能>
過去9カ月でドルに対して6%近くに達した人民元の値上がりには、安定軌道という特徴も備えている。トレーダーの話では、その背景に投融資や決済における人民元の魅力を高めようという当局の狙いがあるという。
これは元高が輸出業者の買いを促し、さらに元高をもたらすという循環を生み出すリスクを抑制する効果も有する。
上海のある電子機器輸出業者は、最近の為替レートの動きを受け、既にドルから人民元への転換をより迅速に進めていると明かした。
確かに12月の輸出代金の人民元への転換比率は68.8%と上昇傾向にあるが、過去最高ではなく、当局がさらに大幅な資金流入も管理可能だとみられている。
一方パンテオン・マクロエコノミクスのシニア中国プラス・エコノミスト、ケビン・ラム氏は「(中国の)貿易黒字は今年再び1兆ドルを超える」と見込み、年末の人民元は1ドル=6.85元を想定している。
同氏は「中国国外に積み上がったドルの還流が人民元を押し上げる原動力であり続けるが、人民銀行が為替レートの上昇を段階的かつ慎重なペースにとどめる道筋を確保するだろう」と述べた。
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