ニュース速報
ワールド

焦点:高市解散で予算後ずれ、長期化なら好景気に影響 日銀も動向注視

2026年01月19日(月)10時27分

写真は国会議事堂。2016年7月、都内で撮影。REUTERS/Toru Hanai

Takaya ‍Yamaguchi Takahiko Wada

[東京 19日 ロイター] - 高市早苗首相が衆院解‌散に打って出ることで2026年度予算案の審議が遅れ、当初想定していた予算案の年度内成立は視界不良となった。想定以上に予算執行が遅れ、好景気に影響が及ぶ事態も予想される。近く26年‌度の成長率見通しを引き上げる日銀​も、「高市解散」の行方を注視する構えだ。

<暫定予算は1カ月以内か>

「財政的に何も困ることはない」。衆院解散に伴う予算審議の遅れについて、政府関係者の1人はこう語る。

複数の政府、与党関係者によると、解散に伴う衆院選は1月27日公示、2月8日投開票とする日程を描く。解散から投開票までの期間は戦後最短の16日間とな‌る。

短期決戦にこだわる背景には、予算審議の遅れを最小限に食い止める狙いがある。首相は就任以降、経済最優先の姿勢を貫いてきた。15日投開票とする案もあったが、「政治空白は少しでも短くないと整合性がとれない」との判断に傾いたと、別の関係者は言う。

1月の解散は1990年以降、例がない。「湾岸戦争の予算付けなども多かった当時に比べれば今回は煩雑な法案もない。(短期決戦で自民が勝利すれば)大きな混乱は避けられる」と、前出とは別の関係者は自信をみせる。

予算案を3月中に衆院で通過させ、参院に送付すれば30日後の自然成立が視野に入る。政府内では「暫定予算は1カ月以内の短期間」(経済官庁幹部)と、楽観的な​見方が漂う。

<赤字国債法案に暗雲も>

とはいえ、思惑通りに進められるかは決⁠め打ちできない。

衆院選に向け、立憲民主党と公明党が新党結成で合意したことは「大きな誤算」(前‍出と別の経済官庁幹部)と受け止められた。与党内にも衝撃が走った両党の合意を受け、暗雲が垂れ込め始めたのが赤字国債法案の行方だ。

同法案は、過去に政争の具とされた。こうした反省から、1年ごとの議会承認を5年に改めた。現在は25年度までの赤字国債発行が認められているが、次年度以降の担保はない。

赤字国債法案は、予算案を待たずに成立させる‍ことができる半面、予算が成立しても同案が承認されていなければ、26年度予算案で計上‍した22兆‌円超の財源調達に穴が開く。予算案のような自然成立の規定もない。

新党結成を‍巡り、政府、与党関係者からは「野田佳彦政権時(2012年)、新年度以降も7カ月成立しなかった思いを逆手に取るのでは」(前出とさらに別の幹部)と、警戒する声も出始めた。12年当時は11月まで成立せず、その間、予算の執行抑制を余儀なくされた過去がある。

市場には「赤字国債法案が5月の大型連休以降も宙に浮いているようだと、景気にネガティブな影響が出かねない」(⁠みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミスト)との声がある。

<高市トレードに身構え>

日銀も、こうした状況に身構えている。

市場は再び「高市トレード」に沸⁠き、先行期待から円安/株高が進んだ。半面、さらなる‍円安進行には輸入物価の上昇を伴う景気下振れリスクが生じかねない。

昨年12月の東京都区部消費者物価指数(CPI)は、エネルギーや食品が主導する形でコアCPIの伸びが鈍化した。日銀は、26年度前半にかけ、コアCPIの伸び率​が2%を下回るとみるが、円安に伴う企業の価格転嫁が再び活性化すれば、こうしたシナリオも狂う。

利上げ判断を巡り、政権内では「12月の利上げは容認したが、景気を冷やすようなことはして欲しくないのが本音」(首相周辺)との声が残る。プラス、マイナス両面の影響を内包する円安進行にどう向き合うかも今後、焦点となる。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油先物横ばい、イラン抗議デモ沈静化で供給懸念後退

ビジネス

消費減税、選択肢として排除されていない=木原官房長

ワールド

ミュンヘン安保会議、イラン外相招待取り消し 反政府

ビジネス

英政府は大胆な改革をとシンクタンク、政策迷走に苦言
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中