〔アングル〕長期金利2%接近、日銀は機動対応に距離 超長期の買入再減額か
12月11日、長期金利が2%の大台に迫る中、日銀では金利形成は市場に委ねるべきで、市場への介入は抑制的であるべきだとの声が出ている。都内の日銀本店で昨年3月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Takahiko Wada
[東京 11日 ロイター] - 長期金利が2%の大台に迫る中、日銀では金利形成は市場に委ねるべきで、市場への介入は抑制的であるべきだとの声が出ている。足元の金利上昇は注視しているが、「例外的な状況」として国債買い入れ増額など機動的な対応に出るまでには、なお距離があるもようだ。国債買い入れの減額は当初計画通りに進める考えで、10―12月に続き来年1―3月も残存10―25年の買い入れ額を減らす可能性が高い。
<上昇スピードには警戒感>
やや速いスピードで上昇している――。日銀の植田和男総裁は9日の衆院予算委員会で足元の長期金利上昇についてこう踏み込んだ。
日銀では11月中旬以降の長期金利の上昇スピードが速いことに警戒感を強め、市場動向を注視している。ただ、植田総裁が説明した、通常の市場の動きと異なる形で長期金利が急激に上昇する、といった「例外的な状況」からは現状、距離があるとの見方が多い。
日銀が国債の買い入れを減らしたことで、金利は海外金利の動向やその時々の材料に反応しやすくなっている。今回の金利上昇について、日銀内では、日銀の利上げ余地を巡る不透明感や高市政権下での財政悪化懸念など明確な理由と紐づいており、それほど問題視すべきでないとの見方がある。日銀は国債買い入れオペの結果を毎回詳細に分析しているが、参加者から「投げ売り」が出るような状況にはなっていないという。
日銀は24年3月にイールドカーブ・コントロール(YCC)を終了し、現在は国債買い入れを段階的に減らす局面にある。金利形成を基本的に市場に委ねている以上、国債買い入れの増額などで日銀が市場に介入するのは抑制的であるべきだとの声が聞かれる。日銀がひとたび機動対応に出れば、その水準が日銀が見る適正な金利水準であるかのように独り歩きするリスクがある。
<国債買い入れ、10―25年を再び減額か>
日銀は国債買い入れの減額を予定通り進める方針だ。国債買い入れ額は10―12月の月間3兆3000億円から、来年1―3月には月間2兆9000億円に減る。焦点は需給が悪化している10年超の買い入れ額だが、10―12月に続いて1―3月も残存10―25年を減らす可能性が高い。
日銀はこれまでも、予見可能性確保の観点から、残存年限別の国債買い入れ額の国債発行額に対する比率を基準として、比率が相対的に高いゾーンを減額の対象としてきたが、10―25年は月間買い入れ額3450億円に対して買い入れ比率が43%と依然として他のゾーンよりも高い。日銀では、超長期債の需給悪化については発行当局である財務省が対応すべきもの、との認識が聞かれる。
もっとも、国債市場では日銀のプレゼンス後退に代わって、海外投資家が存在感を高めている。海外金利の急速な上昇が日本の金利にも波及してくる可能性もあり、日銀は警戒を緩めていない。市場動向を引き続き注視していく姿勢だ。





