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EUが排出量削減目標のさらなる後退検討、COP30前合意目指す=外交筋

2025年11月05日(水)12時40分

 欧州連合(EU)は、2040年の温室効果ガス排出量削減目標をさらに後退させることを検討している。写真は「プレCOP30」会合の様子。ブラジリアで10月13日撮影(2025年 ロイター/Mateus Bonomi)

Kate Abnett Inti Landauro Benoit Van Overstraeten

[ブリュッセル 5日 ロイター] - 欧州連合(EU)は、2040年の温室効果ガス排出量削減目標をさらに後退させることを検討している。6日にブラジルで開催する国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の首脳級会合で提示できるように、意見が割れている加盟国間の合意を何とか取り付ける狙いだ。複数のEU外交筋がロイターに明かした。

EUは40年までに温室効果ガス排出量を1990年比で90%削減する目標設定を目指していた。しかし今のところ各国の環境相会合による交渉で成果が得られていない。

こうした中で外交筋によると、4日夜の会合では、排出量90%の削減分について、5%を外国の炭素クレジット購入で賄うことを含めた修正案が浮上してきた。

修正案に基づくと欧州の産業界に求められる排出量削減は実質85%となる。

当初の90%削減目標においても、最大3%を外国の炭素クレジットで充当する項目が盛り込まれていた。

外交筋は、フランスやイタリア、ポルトガルがこの充当比率を5%に柔軟化することを要求し、ポーランドなどは最大10%を主張した一方、オランダとスペインは削減目標をこれ以上後退させることに反対したと語った。

当初目標を巡っては、産業界や一部加盟国が達成できるかどうか疑わしいとして反発。ポーランド、イタリア、チェコなどはエネルギーか価格高騰や安価な中国製品の流入、米国の関税措置に苦しむ国内産業にとってあまりに厳し過ぎると訴えている。

これに対してオランダ、スペイン、スウェーデンは極端な気象の頻発や、環境関連技術の面で中国に追いつく必要性を理由に、野心的な削減目標に前向きだ。

ロイター
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