ニュース速報
ワールド

チェイニー元米副大統領が死去、84歳 イラク侵攻主導の保守派

2025年11月04日(火)22時21分

米国のディック・チェイニー元副大統領が3日、肺炎と合併症により死去した。84歳。2017年撮影(2025年 ロイター/David Becker)

[4日 ロイター] - 米国のディック・チェイニー元副大統領が3日、肺炎と合併症により死去した。84歳。家族が4日の声明で発表した。

保守強硬派として知られジョージ・W・ブッシュ大統領による2003年のイラク侵攻を主導した。大統領史の研究者からは、米国史上最も強力な副大統領の一人と評されていた。

共和党員で、ワイオミング州選出下院議員、国防長官を務めた後、当時テキサス州知事ブッシュ氏が出馬した2000年の大統領選挙で副大統領候補に指名された。

01年から09年まで副大統領を務めるなか、副大統領としての影響力を拡大。ラムズフェルド国防長官とともにイラク侵攻を強力に支持、大量破壊兵器の疑惑についても危険性を主張した。だが、結果的に大量破壊兵器は発見されなかった。

後年になっても当時の情報に基づいたイラク侵攻とフセイン大統領を権力の座から引きずりおろしたことは、正しい決断だったと主張した。

当時のパウエル国務長官やライス国務長官ら政権高官と対立、衝突。テロ容疑者に対する水責めや睡眠妨害など、「拷問」とも呼ばれた尋問を擁護した。

娘のリズ・チェイニー氏も共和党の有力下院議員を務めたが、共和党のトランプ大統領への反対を表明、21年1月6日の大統領支持者による議会事件ではトランプ氏の弾劾に賛成票を投じたことで、議席を失った。

ディック・チェイニー氏もリズ氏を支持。24年の大統領選では「米国の248年の歴史においてトランプ氏ほど連邦への脅威となる人物はいない」とし、民主党のハリス候補への投票を表明した。

1995ー2000年には石油サービス会社のハリバートンを経営。石油業界とのつながりは、戦争反対派からたびたび批判の対象となった。

1941 年1月30日、ネブラスカ州リンカーン生まれ。少年時代に家族とともにワイオミング州に移った。その後イェール大学に進学したが中退。仕事もしたが最終的にワイオミング大学を卒業した。

69 年に議会インターンとしてワシントンに赴き、共和党のニクソンとフォード政権下でホワイトハウスで職務に従事、ラムズフェルド氏の下で働いた。フォード政権では国防長官となったラムズフェルド氏の後を継ぎ首席補佐官となった。

心臓疾患に悩まされ、37歳のときに何度かの心臓発作に見舞われた。12年には心臓移植を受けた。

妻リンとの間に長女リズと次女メアリーがいる。3人が見守るなか死去したという。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ハマス、人質のイスラエル軍兵士の遺体を返還へ ガザ

ワールド

中国外相、EUは「ライバルでなくパートナー」 自由

ワールド

プーチン氏、G20サミット代表団長にオレシキン副補

ワールド

中ロ、一方的制裁への共同対応表明 習主席がロ首相と
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 10
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中