米首都のハロウィーンは政治風刺、骸骨人形が「ワクチン打てばよかった」
 
        	米首都ワシントンは民主党の支持者が圧倒的に多く、一部地域では政治色の濃いハロウィーンの飾り付けが長年の風物詩となっている。写真は墓石の形をしたプレートと、制作者の現地住民ドナ・ブレスリンさん。10月29日撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
Tim Reid JC Whittington
[ワシントン 30日 ロイター] - 米首都ワシントンは民主党の支持者が圧倒的に多く、一部地域では政治色の濃いハロウィーンの飾り付けが長年の風物詩となっている。
共和党のトランプ大統領が2期目入りして9カ月。今年のハロウィーンは、米国史上ほとんど例を見ない長期の政府閉鎖と時期が重なった。一部の住民は政権による予算削減や人員整理、慣例を破る政策に反発し、庭の飾り付けで「反トランプ」色を押し出している。
連邦議会議事堂近くの庭ではドナ・ブレスリンさん(79)が、「USAID(米国国際開発庁)」や「保健・科学研究」などの文字が並ぶ16の墓石の形をしたプレートを庭に置いた。プレートはアマゾンで購入し、ブレスリンさんが手ずから書いた。トランプ氏が1月の就任以来進めてきた政策のうち、「米国の民主主義を死に至らしめている」と考えるものを表現したという。
ロイターの記者は2日間にわたり、政治的テーマの装飾で知られるワシントンの2つの地域、ジョージタウンとキャピトルヒルを訪れたが、トランプ氏支持や民主党への批判を訴えるハロウィーンの飾り付けは見当たらなかった。
トランプ氏による予算削減の影響を最も強く受けているのがワシントン首都圏だ。政府機関の閉鎖により公務員は一時帰休となり、共和・民主両党は非難合戦を繰り広げている。市内では有権者の約9割が民主党に登録している。
膨張した非効率な官僚組織を縮小するためにこうした削減が必要だとトランプ氏は主張。自身の行動が大統領権限を逸脱し、民主主義を破壊するとの見方を否定し、「選挙公約を実行しているだけだ」と反論している。
<今年の関心はケネディ厚生長官>
ホワイトハウスのクシュ・デサイ報道官は、民主党員らが反トランプ的なハロウィーンの飾り付けで「見た目だけの善行をアピール」していると批判した。そうしたホワイトハウス自体も、ハロウィーンを利用して政敵を揶揄(やゆ)しており、民主党の指導者を模した仮装をインスタグラムに投稿した。
アップロードされた画像の中には、トランプ氏自身の仮装写真に「王冠はかぶっていない」との文言を添えたものもある。これは18日、トランプ氏の権威主義的な傾向や腐敗に抗議するため全米各地で行われた「NO KINGS(王はいらない)」運動を皮肉ったものだとみられる。
今年のハロウィーン装飾で注目を集めたのは、トランプ政権のケネディ厚生長官だ。ケネディ氏は保健福祉省(HHS)の職員を削減し、子どもへの定期的な予防接種は有害だという、すでに否定された説を繰り返している。
ケネディ氏の住むワシントン北西部のリベラルで裕福なジョージタウンでは、複数の骸骨が庭先に飾られ、ワクチンに関連するメッセージが添えられている。
彼の自宅から1ブロックの場所には高さ約3メートルの巨大な骸骨がそびえ、「こんにちは、私はウォーリー! ワクチンは命を救う――私を信じて!」と書かれた看板が添えられている。
保健福祉省の報道官は声明で「明確にしておくが、ケネディ長官は反ワクチンではない。安全性、透明性、説明責任を重視している。長年にわたる彼の活動は、最高水準の安全性を満たし標準的科学に基づくワクチン接種や医療を実現するよう注力してきた」と述べた。
ジョージタウンの別の庭では、首に聴診器をかけた骸骨がフェンスからぶら下がり、「厚生長官」ならぬ「病気推進長官」と書かれた看板が立てられている。
クリスティン・ペインさん(66)はケネディ氏の自宅近くで、子どもサイズの骸骨を玄関の窓際に置き、「ワクチンを打っておけばよかった!」とのメッセージを添えた。ケネディ氏の政策には賛同しないものの、「良き隣人」だと考えているという。
「いまこの国で起きていることについて、皆が声を上げる必要があると思う。特にこのワシントンでは」とペインさんは語った。「ここはとても政治的関心が高いところだから」







 
 
 
 
 
     
 
     
 
     
 
     
 
     
 
     
 
     












